「OnePlus 10T」は2022年に登場したスマートフォンの中で最もつかみどころのない製品だと感じた。厳しすぎる意見だろうか。そうかもしれない。しかし、OnePlus 10Tは筆者には理解しがたい代物だ。素晴らしい「OnePlus 10 Pro」をベースとするOnePlus 10Tは、より強力なプロセッサーを搭載し、最高のパフォーマンスを提供するトップエンドのスマートフォンになるはずだった。ごくわずかではあるが、そうした期待に応えている部分も一応ある。
しかし、価格を上げずにそのわずかな高速化を実現するために、画質やデザイン、カメラなど、重要な機能が犠牲になっている。そして、そうしたさまざまな妥協の結果として、OnePlus 10Tは高級感が損なわれている。
事実、OnePlus 10Tは安価な価格設定で、米国では8GBのRAMと128GBのストレージを備えたモデルが649ドル 約8万8000円)で販売される。これは、同様のメモリーとストレージを備えたOnePlus 10 Proの当初の基本価格である899ドル(約12万円)よりも低い金額だ。しかし、OnePlusは10 Proの値下げも発表し、基本価格を799ドル(約10万7000円)に引き下げている。
筆者がレビューした16GBのRAMと256GBのストレージを搭載するモデルの価格は、749ドルである。ただし、OnePlus 10Tは10 Proに取って代わるものではない。どちらの機種を購入するか迷っている読者には、OnePlus 10 Proを選ぶことをお薦めする。両機種の価格がそれほど変わらない地域に住んでいる場合は、特にそうだ。
筆者はなぜOnePlus 10Tをこれほど嫌っているのだろうか。向上したとされる性能から話を始めよう。OnePlus 10Tは、Qualcommの「Snapdragon 8+ Gen1」プロセッサーと大容量の16GB RAMを搭載しているため、実際に性能は非常に優れている。しかし、ベンチマークテストのスコアは、OnePlus 10 Proを少し上回る程度だ(以下のグラフを参照してほしい)。
実際のところ、日常の使用では、ほとんどの人はスマートフォンにそこまでの性能を求めないか、あるいは、性能が向上したことに気づかないかのどちらかだろう。
OnePlus 10 Proは、ユーザーが何を実行しても処理できるだけの性能をすでに備えていた。「Genshin Impact」や「Asphalt 9: Legends」「PUBG」といった高負荷のゲームを最高の設定でプレイしても、OnePlus 10 ProとOnePlus 10Tの間ではっきりとわかる違いは確認できなかった。インターフェースを操作するときの全体的なパフォーマンスも同じだ。OnePlus 10Tの方が高性能だからといって、「TikTok」の動画投稿にかかる時間が短くなったり、「Snapseed」で編集する写真の見栄えがよくなったりするわけではない。果たして性能が向上した意味はあるのだろうか。制限速度が時速60マイル(約96.56km)の道路を自動車で通勤しているにもかかわらず、最高時速が160マイル(約257.5km)ではなく170マイル(約273.6km)のスポーツカーを選ぶようなものだ。
ディスプレイの解像度は低く、ピクセル密度はOnePlus 10 Proの525ppiに対して394ppiとなっており、発色もOnePlus 10 Proの方が優れている。OnePlus 10Tの画面は端が湾曲しておらず、フラットなので、高級感が少し失われている。光沢のある背面カバーについても、同じことが言える。この背面カバーは滑りやすく、テレビドラマ「CSI : 科学捜査班」の1シーズン全体で採取される指紋の数より多くの指紋を採取するかのようだ。筆者は、サンドブラスト加工が施され、洗練された外観のOnePlus 10 Proの背面の方が好みだ。アラートスライダー(本体側面についた物理ボタン。マナーモードに切り換えられる)も犠牲になっている。これについては、個人的には気にならないが、長年のOnePlusファンはおそらく不満を抱くだろう。
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