先述した性能向上のために、カメラも犠牲になっている。OnePlus 10Tでは、Hasselbladと提携していないため、カメラハードウェアの性能が低下している。具体的には、50メガピクセルのメインセンサーに、8メガピクセルの超広角カメラ、そして2メガピクセルのマクロレンズが搭載されている。48メガピクセルのメインセンサー、50メガピクセルの超広角カメラ、8メガピクセルの望遠レンズを備えるOnePlus 10 Proに比べると、大幅な性能低下だ。OnePlus 10Tのカメラ画面には2倍のズームトグルがあるが、これは画像をトリミングするデジタルズームである。このズームトグルで撮影しても、その画質は、OnePlus 10 Proの3.3倍光学ズームレンズに劣る。
OnePlus 10Tで高画質な写真を撮影できないわけではないが(条件が良ければ可能)、OnePlus 10 Proとは勝負にならない。特に超広角カメラを使う場合は、まったくと言っていいほどだ。あの、筆者には余計と思える高速化のために、カメラの性能が犠牲になったことには、がっかりする。
OnePlus 10Tでは、バッテリー充電機能が強化されており、150ワットの急速充電が可能だ。これは、OnePlus 10 Proの80ワットの充電よりも優れている。スペック上では、急速充電のおかげで、残量ゼロから100%まで約20分で充電できるはずだが、OnePlus 10 Proでも、約30分で同じことが可能だ。確かに、OnePlus 10Tの方が高速ではあるが、OnePlus 10 Proも充電時間がかなり短いスマートフォンに分類される。個人的に、充電時間が10分短縮されるからといって、自分の生活が大幅に改善されるとは思わない。なお、充電器を別途購入する必要はない。互換性のある150ワットの急速充電器が同梱されている。
バッテリー持続時間自体はOnePlus 10 Proと同等だ。画面を最大輝度に設定し、「YouTube」の動画をWi-Fiで1時間ストリーミングしたところ、どちらの機種もバッテリー残量が100%から92%に減った。フル充電しておけば、ほとんどの場合、1日中使用できるが、たとえバッテリー残量が少なくなっても、非常に短時間で充電することが可能だ。
OnePlus 10Tには「Android 12」が搭載されており、「2022年内」に「Android 13」にアップグレードされる予定だが、何らかの理由で、OnePlus 10 Proのほうに先にAndroid 13が提供されることになっている。
OnePlus 10Tの問題点は、最も強力なチップを搭載していると言いたいがために、開発を急いだように感じられることだ。ただし、このチップは、OnePlus 10Tよりも低価格の機種ですでに搭載されている。OnePlus 10 Proが発売されたのは2022年4月のことだが、それから4カ月も経たないうちに、それに続く新モデルが発表されたというわけだ。
自慢したいがために不必要な製品を発売して、リソースを無駄にすることを差し控える企業が人々の賞賛を浴びる時代に、OnePlusは真逆の方向に走ってしまった。大急ぎで開発した機種は、既存の(そして、秀逸な)OnePlus 10 Proと比較して優れた点がほとんどない製品となってしまった。
OnePlusは、数々の新機能を煮詰めて洗練させ、完全な後継フラッグシップモデルに搭載して、2023年初頭に発売した方がよかったのではないだろうか。ほかのスペックやパフォーマンスを犠牲にするのは、避けるべきだ。
筆者はOnePlusに失望している。これは自信を持って言えるが、同社のスマートフォンで総合的に一番優れた機種を求めているのなら、(OnePlus 10Tではなく)OnePlus 10 Proを購入すべきだろう。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス