スマートバンクは7月13日、第三者割当増資によるシリーズAラウンドで総額20億円の資金調達を実施したと発表した。
グロービス・キャピタル・パートナーズ、グローバル・ブレイン、Z Venture Capital、ANRI、三井住友海上キャピタル、DBJキャピタルが引受先を務める。今回の資金調達を加えた累計調達額は30億円。
スマートバンクは、Visaプリペイドカードと家計簿アプリがセットになった支出管理サービスとして、2021年4月から家計簿プリカ「B/43(ビー ヨンサン)」を提供している。カードの使用状況をリアルタイムでアプリに反映するため、支出や残高を簡単に確認できる。2021年12月で累計10万DLを突破し、決済取扱高は月間数億円になるという。
なかでも、パートナーと家計を共同で管理できる「B/43ペアカード(旧ペア口座)」が好調だ。登録するとひもづく2枚のカードが発行され、どちらのカードを使用してもアプリに反映するため、キャッシュレスで簡単に家計を管理できる。共働き世帯が抱える問題を解決でき、3カ月間利用したユーザーの継続率はほぼ100%になるという。
スマートバンクでCEOを務める堀井翔太氏は、「“2人が共同で口座のようなものを作り、それぞれのカードで決済できる”というサービスは今までなかった。さまざまなウェブサービスを作ってきたが、3カ月後の継続率が7割を超えたものはほぼない。継続率が異常な数字となっていることが(サービスの)大きな特徴」と説明する。
高い継続率に加え、利用者の月額利用金額が上昇することも特徴の1つ。利用開始翌月には約1.6倍、10カ月後には約2.8倍にまで増える傾向があるという。「“食費だけ管理しよう”というところから始まり、光熱費やサブスクリプションサービスなどに広がっていく。片方が払うと不公平になるものをまとめられる」(堀井氏)とし、パートナーとの生活費支出におけるメインカードとして使われていると語った。
スマートバンクによると、世の中の流れとして共働き世帯が増加傾向にあり、片働きに比べて収入と支出の内容が複雑化。家計全体のお金の流れや貯蓄の現状が把握しづらい状況にあるという。
一方、日本市場には共同で家計を管理できるサービスがなく、どちらか一方に管理の手間が集中したり、互いの立替精算が面倒だったり、簡単に今月の支出状況が確認できなかったりと、パートナーとの家計管理方法には多くの課題が残されていると指摘。課題を抱える潜在的顧客は1500万世帯に及ぶと予測しているという。
今回調達した20億円は、B/43ペアカードの拡大に充てる。また、2023年末までの100万DLを目指し、2022年度中には子どもと親が共同で支出を管理できる“親子カード”機能をリリースする予定だ。小学生くらいから持たせ、キャッシュレス教育の土台に使えるサービスとして考えているという。
堀井氏は、「ペアカードや親子カードといった“複数人で家計を管理できるサービス”は、これからさまざまなものが出てくるはず。そのなかでスマートバンクの強みは、金融のライセンスやカードの発行、決済といった仕組みを自社で保有しているところ。機能面やユーザー体験を作り込める」と強調する。管理だけでなく、お金を貯める、増やすといった分野向けの機能も視野にあるようだ。
また堀井氏は「(今回の資金調達では)2012年に創業したFablicではライバルの引受先になった、グロービス・キャピタル・パートナーズ、グローバル・ブレインの2社ともご一緒できることになった。応援団としてこれ以上心強いものはない」と、まるで“昨日の敵が今日の友”になったかのような特別な思いを抱いていると語った。
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