同氏は「将来の体験の機会を作るために投資し、今できる限りの能力を注ごうという決断は、われわれにとっては実に簡単だ。それが他社と違うところだ」と答えた。
このようなアプローチを選ぶスマートフォンメーカーは他にはない。サムスンが「Galaxy S8」の筐体に「Galaxy S22」の性能を搭載させるようなものだ。近く発売されるGoogleの「Pixel 6a」は、同社のフラグシップデバイスである「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」と同じ「Tensor」チップを搭載する初の低価格Androidスマートフォンだ。Googleはもちろん、「Pixel 2」の筐体を再利用するわけではなく、新たなデザインを採用する。
Appleが最も安価なスマートフォンに、最も高価なスマートフォンと同じプロセッサーを搭載することは、理にかなっている。人々にApple体験を提供するためなのだ。例えば、iPhone SEを購入すれば、「iOS 15」の「テキスト認識表示」機能を使って、カメラや撮影した写真からテキストを取り込むことができる。2016年と2020年のiPhone SEはよく売れたが、2022年モデルはまだ販売記録を更新していないようだ。AppleはiPhoneのモデル別販売台数を公開していないが、アナリストのMing-Chi Kuo氏はiPhone SE(第3世代)の出荷予想を1000万台引き下げた。需要低下の原因は、インフレと、先代とあまり違いが見えないことの影響とみられる。
Shanghai lockdown doesn't affect the iPhone SE production. However, the new iPhone SE demand is lower than expected (the delivery status "in stock" as one of the proofs), and I cut my shipment estimation in 2022 to 15-20M (vs. 25-30M previously).
— 郭明錤 (Ming-Chi Kuo) (@mingchikuo) March 28, 2022
上海のロックダウンはiPhone SEの製造に影響していない。だが、新iPhone SEの需要は予想より低い(納品予定が「在庫あり」になっているのが証拠の1つだ)ため、2022年の出荷予測を1500万~2000万台に引き下げる(以前は2500万~3000万台としていた)。
iPhone SEは、「iOS」と「Appleシリコン」がiPhoneのすべての機能の基盤になっていることを示している。もちろん、iPhoneのラインアップはそれぞれ異なる。iPhone 13 Proのような高価なモデルには、現代的なデザイン、リフレッシュレートの高いディスプレイ、より大きなカメラセンサー、超広帯域無線チップの「U1」やLiDARなどのツールが搭載されている。
こうした追加の利点で、高価格のiPhoneではより多くのことができる。例えば、対応する車種であれば、iPhoneで車のドアのロックを解除し、エンジンもかけられる。Borscher氏は、これを「オートマジック」だと表現した。同様に、AirPodsの接続先をiPhoneから動画を見るためにMacに簡単に切り替えられるし、Apple Watchを使ってMacのロックを解除することもできる。
当然ながら、こうした成長にはさまざまな結果が伴う。アプリストアとモバイル決済に関する独禁法違反の懸念や、スクリーンタイムに関する議論、米連邦捜査局(FBI)との敵対的な関係、Appleのサービスは人々を同社エコシステムに閉じ込める戦略の1つだという批判、そして最近では、AirTagに関するプライバシーの懸念もある。これらはすべて、iPhoneの大成功と共に膨らんだものだ。AppleはiPhoneの成功の半分でも達成できる新たな製品ラインを立ち上げることができるのだろうかという疑問まで浮上している。米CNETのライターでApple製品を担当するIan Sherrは、Apple WatchやAirPodsなどの製品の人気はiPhoneとの接続あってのものだと指摘している。
iPhoneシリーズは、15年以上かけて普及し、Appleが3兆ドル規模の企業に育つのを助けてきた。恐らく「iPhone 14」と呼ばれることになる次期スマートフォンは、9月に発表される見込みだ。このiPhoneは、間違いなく「iOS 16」を搭載し、Appleの「Aシリーズ」プロセッサーの最新版を内蔵し、引き続きAppleの体験をサポートするだろう。同僚のLisa Eadicicco記者によると、長期的には、将来のiPhoneにおける最も重要なポイントは、周囲のあらゆるものとどのように連携するかだという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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