Googleは米国時間6月23日、「Android」および「iOS」を搭載するモバイル機器のユーザーを狙う新種のスパイウェアについて警告した。
Googleの脅威分析グループ(Threat Analysis Group:TAG)の研究者であるBenoit Sevens氏とClement Lecigne氏、そして同社のセキュリティ研究者チーム「Project Zero」によると、現在、iOSとAndroidを標的とする新種のスパイウェアが広く拡散しているという。このスパイウェアは商業プロバイダーによって開発され、政府の支援を受けたハッカーに販売されているという。
これまでに、イタリアとカザフスタンで被害が確認されている。
「Hermit」と呼ばれるこのスパイウェアは、モジュール式の監視ウェアだ。Lookoutのサイバーセキュリティ研究者によると、25個の既知のモジュールのうち16個を分析した結果、このマルウェアはデバイスのルート化を試みることが分かったという。さらに、Hermitは、音声の録音、通話のリダイレクトと発信、さまざまな情報(SMSメッセージ、通話履歴、連絡先リスト、写真、GPS位置データなど)の窃取などの機能を備えていることも判明したという。
Lookoutが16日に公開した分析結果によると、このスパイウェアは不正なSMSメッセージを通して拡散されるとみられる。TAGも、インターネットサービスプロバイダー(ISP)やメッセージアプリが送信元であるように偽装されたメッセージを通して、一意のリンクが標的に送信されると結論づけている。
「攻撃者が標的の利用しているISPと協力して、標的のモバイルデータ接続を無効にした事例もあると考えている。モバイルデータ接続を無効化した後、攻撃者はSMS経由で悪意あるリンクを送信し、データ接続を回復するためのアプリをインストールするよう標的に求める」(TAG)
LookoutのチームはAndroid版のHermitに関してのみサンプルを入手していた。その後、GoogleがiOS版のサンプルも調査した。どちらのサンプルも、GoogleとAppleの公式アプリストアでは公開されておらず、スパイウェアが仕込まれたアプリはサードパーティーのホストからダウンロードされていた。
Android版のサンプルでは、被害者が不明なソースからのモバイルアプリのインストールを許可した後、.APKをダウンロードする必要がある。このマルウェアは、サムスンのアプリに偽装されており、コマンド&コントロール(C2)インフラの一部として「Firebase」を使用していた。
TAGは、「APK自体にエクスプロイトは含まれていないが、コードは、ダウンロードして実行できるエクスプロイトの存在を示唆している」と述べている。
Googleは、アプリの悪意ある活動からユーザーを保護するため、アプリの影響を受けるAndroidユーザーに通知し、「Google Play Protect」に変更を加えた。また、このスパイウェアで悪用されたFirebaseプロジェクトは無効化された。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス