回転寿司チェーン「くら寿司」を運営するくら寿司の子会社、KURA おさかなファームは6月23日、ウミトロンと協働し、AIやIoTを活用したハマチのスマート養殖に日本で初めて成功したと発表した。
また、新商品「特大切り AI はまち」として、全国のくら寿司にて、6月24~26日まで一皿2カン、税込220円(一部の店舗では価格が異なる)で販売する。初出荷となる今回は約20トンの水揚げとなるため、提供期間は短くなっている。
KURA おさかなファームは、2021年11月に設立。漁業における「人手不足」や「労働環境の厳しさ」などの課題解決を目指し、AIやIoTを活用したスマート養殖による委託養殖を進めている。
2022年3月に、ウミトロンのスマート給餌機「UMITRON CELL」で養殖したマダイを初めてくら寿司で全国販売し、好評を得た。第2弾は、くら寿司で人気ナンバー2を誇る人気のネタ、ハマチだ。
養殖により、原油価格や物価が高騰する中でも安定した供給量確保とコスト管理を実現し、また漁業における「人手不足」や「労働環境の厳しさ」といった課題解決の両立を目指す狙いがある。
ウミトロンのスマート給餌機は、AIが“魚の食欲”を画像解析することで、給餌の量やタイミングを最適化できるのが特長だ。スマート給餌機に切り替えても従来通りに成育することが分かり、さらにエサの量を約1割削減できたという。
さらに、「味もほとんど変わらない。大きさもこれまでと同程度の5kg以上のはまちを水揚げしている。従来よりも少ないえさの量で効率的に大きく育ち、期間も1カ月ぐらい短縮できている」(くら寿司 広報宣伝IR本部 広報部の岡柳澪氏)。
ハマチは一度に多くの餌を食べるため、一度に短時間で大量のエサを船上から生けすに機械で投入しながら、人が目視で食欲状態を確認するのが一般的だった。
スマート給餌機の活用により、毎日生けすに行くという作業が2~3日に1回でよくなり、作業効率の向上や燃料代の削減にもつながっているという。
今回の実験結果を受け、愛媛県宇和島市内の生産者2社と契約を結び、スマート給餌機を使ったハマチの委託養殖事業を本格的に進めていく方針だ。養殖を委託したハマチは、KURA おさかなファームが全量買い取り、くら寿司で販売することで生産者の収入の安定にも寄与する。
くら寿司は、今後もウミトロンと連携して、データの蓄積やAIの精度を高めるなど研究を深め、さらなる生産効率のアップを目指す。2024年をめどに、くら寿司で扱うハマチの約3割をKURA おさかなファームによる委託養殖によってまかない、より安定した仕入れで商品化する方針だ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス