eスポーツチームの能力テストを体験--才能を数値化してトレーニング - (page 2)

David Lumb (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2022年06月21日 07時30分

サッカーからシューティングゲームまで

 NeurOlympicsは、オランダを拠点とする調査会社で、企業向けの認知能力評価を実施しているBrainsFirstによって開発された。NeurOlympicsは、2013年に提供が開始され、すぐに欧州プレミアリーグのサッカーチームに採用されている。その後、アムステルダムのスキポール空港の航空管制官や、コンサルタント会社のMcKinseyおよびDeloitteの従業員をテストするために調整が施された。

 BrainsFirstのクライアントサービスディレクターを務めるMarieke Dresmé氏によると、サッカー選手とeスポーツ選手の身体活動は異なるが、サッカーとeスポーツに対するNeurOlympicsのアプローチはよく似ているという。

 「サッカーのエリート選手の平均的な脳は、戦略的なeスポーツ選手の脳によく似ている」とDresmé氏は語る。「(eスポーツの)シューティングゲームの選手の脳を見ると、(サッカーの)直観的なストライカーの脳とさまざまな類似点がある」

 筆者は、1時間バージョンのNeurOlympicsテストをBrainsFirstから受け取った。記憶力、反応速度や回復時間、戦略的思考などの特性を測定する4つのテストが矢継ぎ早に実施される。

 ゲームの内容はさまざまだ。空間認識をテストするゲームでは、現れたり消えたりするアイコンをクリックすることを求められた。予想能力と正確さをテストするゲームでは、世界終末的なアーケードゲーム「ミサイルコマンド」のように、落下するターゲットに弾を発射することが求められた。シンプルなグラフィックにもかかわらず、これらのゲームでは、高度な集中力と素早い反応が必要だった。筆者は体力を消耗し、エクササイズ中に休憩を取るように、ラウンドの合間に急いで水を飲みに行った。

 これらのテストは、リーグ・オブ・レジェンドなどの戦略ゲームや「Counter-Strike: Global Offensive」などのシューティングゲームの複雑さとはかけ離れている。それでも、基本的な測定基準をより複雑な状況に適用できることはよく分かった。

 テストの1週間後、Team Liquidのパフォーマンス担当ディレクターのChang Ko氏が、筆者にはTeam Liquidのチームの一員になる素質がないことをやんわりと伝えてくれた。それでも、Ko氏は筆者の結果を真剣に扱い、テストで明らかになった筆者の認知能力の強みと弱みを説明してくれた。

 このテストでは、選手の能力を、記憶力、注意力、制御力、予測力という4つの主要グループの16種類のカテゴリーに分類する。各カテゴリーに、0~100点のスコアが付けられる。スコアは、NeurOlympicsでのパフォーマンスの相対的な測定値であり、テストを受けた他の人のパフォーマンスとの比較に基づく。あるカテゴリーのスコアが0点だった場合は、テストを受けた他の全員が自分よりも高いスキルを有していることを意味する。100点の場合は、自分のスキルが他の全員よりも高いということだ。結果は、各カテゴリーが多角形の一角をなすスパイダーチャートで提示される。

 Ko氏はいくつかの基本事項を説明してくれた。筆者は「ストレスからの回復力」で高いスコア(97点)を出した。これは重圧のかかる状況でも良好なパフォーマンスを発揮できることを示している。しかし、「注意力ガイド」のスコア(9点)は、筆者が、他のほとんどの人ほど自分の進捗状況について注視していないことを示している。その後、同氏は筆者のお気に入りのゲームやそれらのゲームでの筆者の役割、筆者のキャリア、好みの職場環境について、個人的な質問をした。テストと質問の結果を総合すれば、筆者の生来の性向や、選手およびチームメンバーとしてのパフォーマンスに関する洞察を得られるという。

 その体験は、わずかにタロット占いの要素を含んだ勤務評価のように感じられた。

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