eスポーツチームの能力テストを体験--才能を数値化してトレーニング - (page 3)

David Lumb (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2022年06月21日 07時30分

ゲーマーのためのジム

 NeurOlympicsは、Team Liquidのチームトレーニングの一部に過ぎない。今から4年前、Team LiquidはDellのゲームブランドである「Alienware」と提携して、ゲーマー向けのハイテクジム「Pro Lab」をカリフォルニア州とオランダに設立した。

Team Liquidの本部
カリフォルニア州サンタモニカにあるTeam Liquidの本部は最近、Pro Labを新たに設立した。ここで選手達はNeurOlympicsのテストを受けたりトレーニングを積んだり、リラックスしたりする。
提供:Team Liquid

 Pro Labは、サンタモニカにあるTeam Liquidのカリフォルニア本社の一角を占める。コンピューターステーションには、Alienwareのロゴが描かれている。Curtis氏は6台のモニターが設置されたステーションで、NeurOlympicsのスパイダーチャートを選手に説明している。後部には、選手が認知能力や運動のスキルドリルでウォーミングアップするときに使用するいくつかの専用コンピューターステーションや、激しい試合の後でリラックスするためのゼログラビティーチェアがある。

 チーム開発の役割の一環としてPro Labを担当しているCurtis氏は、「(選手が試合を)始める前に、われわれは回復から認知能力のウォームアップ、運動スキルまで、あらゆることに注力する」と話す。「われわれが本当に目指しているのは、休息時間、回復時間から飲んでいる水の量まで、選手のトレーニング日丸1日に対する総合的なアプローチだ」

 今から何年も前、Curtis氏は、今自分が支援している選手たちと同じように、eスポーツのプロ選手だった。7Teenというハンドルでシューティングゲーム「PUBG: BATTLEGROUNDS」(PUBG)の大会に参加していた。2019年、PUBGのチームを指導するために、Team Liquidの一員になった。現在29歳の同氏は、数カ月前に同組織初のチーム開発コーチに就任する。Team Liquidの他のコーチは、練習やプロの試合での選手のパフォーマンスに焦点を当てているが、Curtis氏は1日を通じた選手の気分や体調を追跡している。

 Curtis氏とKo氏によると、NeurOlympicsの結果を参考にすることで、コーチは選手たちにより的確な指導をすることができるという。ただし、Team Liquid内の全員がそのように考えているわけではない。

 Team Liquidで「ロケットリーグ」のチームを率いるAndré Costa氏によると、プレーヤーが車を操作して巨大なサッカーボールをゴールに入れるというロケットリーグのゲームは、プロが競い合うゲームとしては、今も発展途上にあるという。ゲーム大会が今後どのように進化していくのかは誰にも分からないため、ロケットリーグをマスターすることの方が、NeurOlympicsが提供しうる段階的な洞察に頼るよりも重要だ、とCosta氏は話す。

 「一方のチームがもう一方のチームよりも優れている場合は、ゲームについてあまり考える必要はない」とCosta氏。「うまくいくのは、われわれのスピードとスキルが誰よりも優れているからだ」

 Costa氏はロケットリーグを、より確立されたプロ選手コミュニティーがあるリーグ・オブ・レジェンドやCounter-Strike: Global Offensive、「Dota 2」などのゲームと比較し、もし同氏のチームがリーグ・オブ・レジェンドをプレイしていたら、NeurOlympicsの結果から得られる洞察を有効に活用できるだろう、と指摘した。

 22歳のCosta氏は、15歳の選手2人と16歳の選手1人で構成されるチームを監督している。競技として発展途上にあるゲームで勝負する若い選手にとって、NeurOlympicsの洞察は、大切なことから気が逸れる要因になる、と同氏は述べている。

 21歳のBradley Bennyworth選手は、1月からTeam Liquidのリーグ・オブ・レジェンドチームの1つでプレイしており、4月にNeurOlympicsテストを受けた。記憶力のスコアが低いことにコーチが気づいたため、Bennyworth選手は記憶力トレーニングゲームをプレイするよう命じられた。それ以来、リーグ・オブ・レジェンドの試合でのパフォーマンスが向上したことに気づいたという。ただし、チームメイトと一緒にプレイしたことやスキルドリルに取り組んだこと、ゼログラビティーチェアでくつろいだことも改善の要因だと同選手は考えている。

選手達
ゼログラビティーチェアでくつろぐ選手達。
提供:Team Liquid

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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