「watchOS 9」が示唆する「Apple Watch」の将来像 - (page 2)

Lisa Eadicicco (CNET News) 翻訳校正: 編集部2022年06月18日 07時30分

watchOS 9が示唆するApple Watchのさらなる未来

 watchOS 9の発表ではフィットネス関連機能の強化が強調された。しかし他のアップデートからもAppleの方向性をうかがうことができる。例えば、新たに搭載された「睡眠ステージ」機能は睡眠トラッキングを強化するもので、ユーザーの睡眠時間を眠りの状態別に分析する。しかし、こうした機能はすでに何年も前からFitbitやOura、サムスンのフィットネストラッカーが実現しており、Appleは遅れを取り戻しているにすぎない。

watchOS 9の「睡眠ステージ」
watchOS 9の「睡眠ステージ」
提供:Screenshot/CNET

 睡眠トラッキングの強化は、ユーザーがApple Watchをつけたまま眠ることを想定しているため、Apple Watchのバッテリー駆動時間が何らかの形で伸びるかもしれない。しかし、この点も公式発表まで確かなことは分からない。

 Apple Watchのバッテリー駆動時間は、公称では1回の充電で18時間だ。ちなみに筆者は1、2日使うと充電したくなる。Apple Watchのバッテリー駆動時間はここ数年、目立った進歩がなく、代わりに「Series 6」と「Series 7」では高速充電が可能になった。

 Appleは今後もバッテリー駆動時間を劇的に伸ばすのではなく、こうした方法でバッテリー問題に対応していく可能性が高い。しかしBloombergの記事は、現在の省電力モードよりも高機能な新しい低電力モードが導入される可能性があるとしている。記事によると、新しい低電力オプションはwatchOS 9に搭載される見込みだが、6日のイベントでは言及されなかった。

 バッテリーの問題は長らくApple Watchに対する批判の1つとなってきたため(そしてもちろんBloombergの予測記事の信頼性の高さを考えると)、この機能が登場する可能性はかなり高い。「watchOS 8」でも、サイクリング関連の機能追加が発表されたのは「Apple Watch Series 7」が正式公開された2021年秋の製品イベントだった。つまり、Appleが年内に新たなソフトウェア機能を発表する可能性はある。

 watchOS 9は、Appleが健康・ウェルネス分野全般を強化しようとしていることを示している。例えば、新しい「心房細動履歴」機能は、心房細動の診断を受けているユーザーが、心拍リズムに心房細動の兆候が現れるおおよその頻度といった、詳細なヘルスデータを入手できるようにするものだ。また、処方薬を把握し、飲み忘れを防止するリマインダー機能も追加される。

 こうしたアップデートは、AppleがApple Watchを、身体の変化を把握して医師と共有するためのツールと捉えていることを示している。BloombergThe Wall Street Journalの記事を信じるなら、Series 8では体温センサーが搭載され、この方向性がさらに強化される見込みだ。

 Apple Watchの歴史を紐解くと、重要なターニングポイントの多くは新しいハードウェアのリリースと紐付いていた。例えば「Series 3」では初めてセルラー接続が可能になり、Apple WatchはiPhoneのアクセサリーではなく、単体で機能する独立した製品と感じられるようになった。「Series 4」では心電図モニターや転倒検知機能が搭載され、健康機器としての役割が広がった。

 watchOS 9では、ここまで劇的な進化は起こらないだろう。しかしApple Watchを究極の健康・フィットネス機器にするというミッションの実現に欠かせない機能が追加されるはずだ。これはApple Watchに対する同社の短期的、長期的な計画を雄弁に物語っている。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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