総務省のワーキンググループは6月7日の有識者会議で、スマートフォンの「転売ヤー」に関する現状や問題点を整理した。電気通信の健全な発達や社会的な観点から、転売ヤーは望ましいものではないと指摘した。
同ワーキンググループが公開した資料では、転売ヤーを、「携帯キャリアや販売代理店がスマートフォンの大幅な値引き販売を行った際に、こうした端末を通信サービスの利用に用いるのではなく、転売することで利益を得ることを半ば業として行う者」と定義した。
転売ヤーがもたらす問題としては、人気端末等が買い占められ、一般の消費者が端末を入手できない状況が生じていることや、転売による利益が反社会的な目的に利用されるおそれがあることなどを挙げた。
販売代理店の疲弊の声も紹介された。「明らかに転売を目的とする客には売りたくないというスタッフの気持ちは分かる。(転売目的で)短期解約されるとペナルティが付くキャリアもあるので、スタッフは規制と現実の板挟みになっている」という。
各キャリアがどのように転売を防止しているのか、既存の対策についても資料にまとめられた。各キャリアは人気の端末に限り販売を「1人1台限り」とする対策を講じているという。しかし、その効果を定量的に評価することが難しく、一部のキャリアからは「何かいいアイデアがないか、しっかりと考えていきたい」との声もあったという。
こうした現状を踏まえ、同ワーキンググループは今後各キャリアに求める対策の検討の方向案をまとめた。同案では、端末を大幅に値引いて販売する場合に、有効な転売対策を確実に実施し、かつその実施状況を総務省に報告するよう各キャリアに求めている。
各キャリアが端末の大幅な値引きを行う背景には、キャリア間における乗り換え利用者の獲得競争がある。
販売代理店の現場では、自社の利用者を一度他社に乗り換えさせたうえで、再度自社に乗り換えさせることで、乗り換え利用者の獲得件数を水増ししている例があるという。
こうした行為は事業上なんらメリットをもたらさないばかりか、他社の短期解約者を不必要に増やすなど市場全体に弊害もたらす可能性があるという。この「無意味な乗り換え」を生じさせない対策についても、各キャリアに検討や報告を求めることが適当だとした。
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