ドワンゴは6月1日、祈り、伝統芸能、最新テクノロジーを掛け合わせて展開する新プロジェクト「meme nippon project(ミームニッポンプロジェクト)」の始動を発表。プロジェクト第1弾として「第一章『薬師寺ひかり響夜 - inori -』~歌舞伎と灯りと響きの夕べ~」を、7月16日と17日に奈良県にある法相宗大本山 薬師寺にて開催する。
meme nippon projectは、不確実なこの時代だからこそ、日本の文化の中に息づく遺伝子・美意識を目に見えるかたちで表して伝えることで、平和や安寧といった和の精神をあらためて感じ、紡がれる文化の遺伝子を次世代につなげていくことを願って立ち上げられたもの。
プロジェクト第一章では、世界遺産であり、約1300年の間、1日も欠かさず祈りを続けている薬師寺を舞台として、メイドインジャパンを伏線とした日本の一線級の演者・アーティスト・クリエイターを集め、デジタル技術を駆使した共鳴創作を発表する。アーティスティックディレクターは空間クリエイティブカンパニーとして活動しているJTQ代表の谷川じゅんじ氏、総合プロデューサーは、「超歌舞伎」の総合プロデューサーも務めているドワンゴの横澤大輔氏が担当する。
大講堂では、主演を俳優の中村獅童さん、演出・振付を藤間勘十郎さんが務め、WOWの映像演出による新作歌舞伎舞踊「瑠璃光」を披露する。また食堂(じきどう)では、サウンドアーティストのevalaが主宰する「See by Your Ears」による新作インスタレーションを開催。声明、プロジェクションマッピング、サウンドアート、そして歌舞伎舞踊が織りなす幽幻郷を創りあげるという。
イベントのチケットは、クラウドファンディングの返礼品として販売。クラウドファンディングの募集期間は7月4日23時59分まで。後日プレイガイド各社でのチケット販売も予定している。また、7月17日のみニコニコ、YouTubeにて生配信(視聴無料)も行うという。
同日に記者会見を実施。発案者でもある中村さんは、テーマとして“メイドインジャパン”“我々とお客さんの気持ちがひとつになること”をあげる。新型コロナの流行をはじめとして大変な状況が続くなかで、何かできることを考えたうえで、谷川氏ならびに横澤氏に相談をして、このプロジェクトが展開される運びになったという。
中村さんは「歌舞伎役者として年齢も50歳になるところで、我々ができることを考えた。日本には祈りの文化があり、歌舞伎を通じてみなさんと心をひとつにしたい。メイドインジャパンにこだわり、パッションやアート、歌舞伎などを融合して、祈りを込めてひとつの表現として提供する。最新技術を活用して『超歌舞伎』で培ってきたことを舞台で表現できたら」と語る。
舞台となる薬師寺について、2010年に平城遷都1300年祭を記念した「薬師寺ひかり絵巻」を手掛けたこともある谷川氏は、今回の祈りをテーマとした表現を展開するなかで、もともと病気平癒を願って建立されたという背景がある薬師寺のお膝下から発信できることは、実空間の体験も含めて特別なものが作れると思ったと説明する。
谷川氏は「中村さんが磨き上げてきた歌舞伎の力、歌舞伎で活躍するプロフェッショナルのみなさんと、今までとは違った形で参画してもらい、今までの表現では感じたことがないような新しい空気感やムードを作りだしつつ、でも日本人が見たときにこの感覚がわかるというような、日本人の遺伝子に響くような表現を伝えていきたい」と語った。また横澤氏は「裏方をしっかりと固めつつ、アーティストのみなさんには、最高の共演をしていただきたい。ジャンルを超えた創作者の方々が集まっているので、日本の美意識を集結した祈りの空間を創造していく」とコメントした。
中村さんは、歌舞伎はもともと最先端をいく芸能であり、江戸時代からいろいろなものを取り入れてひとつのエンターテインメントになったもので、時代を切り開く精神があると説明。そして「若い方々に、歌舞伎に興味を持っていただくのが、私の使命」と意気込みを見せていた。
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