埼玉県久喜市の南栗橋に産学官5者連携による街づくりプロジェクト「BRIDGE LIFE Platform 南栗橋」が5月26日、街びらきした。ゼロエネルギーハウスを擁する戸建街区や自動配送ロボットなどを備える商業街区から成り、次世代の街づくりプロジェクトになっている。
BRIDGE LIFE Platform 南栗橋は、埼玉県久喜市、東武鉄道、トヨタホーム、イオンリテール、早稲田 大学大学院 環境・エネルギー研究科 小野田弘士研究室の5者が連携して立ち上げたもの。2021年11月に「BRIDGE LIFE Platform(ブリッジライフプラットフォーム)構想」の策定を発表していた。
東武鉄道 取締役常務執行役員の横田芳美氏は「2021年秋にBRIDGE LIFE Platform構想を発表し、半年を経ていよいよ街びらきを迎えた。南栗橋駅については1991年から街づくりに関わってきた。今回は協定を結んでいる5者と連携しながら、少子高齢化、人口減少など郊外が抱える課題、コロナで変化した生活様式などに対応した次世代の街づくりを進めている」とコメントした。
BRIDGE LIFE Platform 南栗橋は、埼玉県久喜市南栗橋8丁目に位置し、総面積は約16.7ヘクタール。戸建街区、クラブハウス(トヨタホームと東武鉄道)、商業街区(イオンリテール)、生活利便街区(東武鉄道)、公園等(久喜市)などの街区から構成される。それぞれを担う4者に加え、自動宅配の実証実験をはじめとした次世代モビリティシステム導入など、住民の利便性向上を目指すサービスを早稲田大学 小野田研究室が手掛ける。
街びらき時に公開したのは、ゼロエネルギーハウス(ZEH)のモデル棟やイオンスタイル南栗橋など。イオンスタイル南栗橋は、売場総面積3013平方メートルの小〜中規模店舗。共働きの多い子育て世帯がターゲットの中心と見据え、同規模店舗に比べ約1.3倍となる約600種類の冷凍食品を用意する。
イオンリテール 北関東カンパニー東埼玉事業部長の町野弘幸氏は「地元の生産者の方と直接取り引きした地場野菜を専門コーナーとして展開するほか、こんにゃく、うどん、そばなど地元の名店の食品も取り扱う。簡単便利な冷凍食品は惣菜のほかスイーツなどもそろえ、地域一番の品ぞろえを実現できた。商品以外にも当社初となるドッグランを設置するなど、買い物のついでに楽しめる地域コミュニティの場を提供していきたい」と話した。
街びらきでは、イオンスタイル南栗橋からモデル棟までの自動配送ロボットも披露。早稲田 大学大学院 環境・エネルギー研究科 教授の小野田弘士氏は「自動配送ロボットのほか、シャーシを共通化し、マルチに使えるモビリティや、人についていくことで自動運転を実現するモビリティなどの導入も考えられる。こうしたロボットを実際のサービスとして実装するには、技術的にはもちろん、制度などの課題がある。南栗橋は商業施設と住宅が近接しており、比較的やりやすい環境が整っている」とした。
総戸数172戸となる戸建街区は、遊歩道と車道が交互に連続することで、多くの住宅が二面開放になっていることが特徴。これにより外へのアクセスがしやすくなり、コミュニケーションの活性化に期待できるという。全戸がZEH住宅になっているほか、電気自動車から住宅に電気を供給できる「クルマde給電」を標準装備する。
トヨタホーム 代表取締役社長執行役員の後藤裕司氏は「各住宅には太陽光パネルを備え、創エネ環境を整えているほか、街区では電線を地中化し、災害に強い街づくりを推進している。住宅を『売っておしまい』ではなく、管理組合をつくり、コミュニティを作っていきたいと考えている。街区内にはクラブハウスをつくり、そこでバーベキューをしたり、焚き火をしたりすることもできるが、災害の拠点になることも考えている」と新たな街づくりを示した。
街びらきには久喜市市長の梅田修一氏も登壇。「保育園、福祉施設、商業施設などがあり、徒歩圏内で生活が完結するコンパクトな街づくりと、イオンスタイルで購入した商品を自動配送するなどスマートな街づくり、加えて太陽光パネルを用いた発電など、レジリエンスな街づくりを促進していく。ここで培った取り組みを市全体に広げていきたい」とコメントした。
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