再生可能エネルギーの供給事業を手がけるLooopは12月17日、街区全体で電気をつくり、シェアする分散型エネルギーシステムを導入した未来型の脱炭素スマートコミュニティ街区「浦和美園E-フォレスト 第3期」を公開した。全51邸の戸建て住宅に太陽光パネルを備える。
浦和美園E-フォレストは、埼玉県さいたま市にある浦和美園の大規模開発エリアに誕生する新築分譲住宅。埼玉高速鉄道の浦和美園駅から徒歩8分ほどの場所に位置する。第3期は現在建設が進んでおり、2021年12月から2022年春にかけて、入居が進む予定だ。
区画内にLooopが提供する独自開発のエネルギーマネジメントシステム「エネプラザ」を設置している点がポイントで、全51邸に太陽光パネル、ハイブリッド給湯器を設置。エネプラザには蓄電池、受電盤、EV充放電器に加え、EVカー「リーフ」を2台備え、週末はシェアリングカーとして利用できるほか、平日は太陽光で発電した電気をためる蓄電池としても機能する。
「カーボンニュートラル実現に向け課題はさまざまあるが、その1つが遠方で発電した電気を、長い送電線、配電線を用いて消費者に届ける仕組み。それを解決するためには、発電した電気をコミュニティ内で融通し、消費する分散型電力システムの導入が必要」とLooop 電力事業本部企画開発部エネマネ企画課課長の荒井綾希子氏は説明する。
浦和美園E-フォレスト 第3期では、すべての家に太陽光パネルを設置し電力を作り出す。その後エネプラザのチャージエリアに発電した電気を集め、直流から交流に変換した上で、各戸の電気として供給する仕組み。太陽光発電時の余剰分は蓄電池とEVに貯め、発電量が足りない時には系統電力から配電する仕組みだ。
Looopでは、各戸が単独で太陽光パネルを備え、消費した場合の再生可能エネルギー自給率が約30%と言われる中、街区全体でこの仕組みを整えることで、自給率を60%超まで引き上げる計画だ。
「各戸にはリンナイの給湯器『ECO ONE(エコワン)』を備え、太陽光発電の余剰が発生するタイミングでお湯を沸きあげることで、太陽光の利用率を上げている。ガス炊きもできるので、系統電力が停電した場合などは、蓄電リソースを給湯以外の部分に利用することもできる」(荒井氏)とメリットを説明する。
電気料金は基本料金2500円で、1kWhあたり20〜30円のダイナミックプライシングを採用。各家庭にはデバイスを貸与することで、翌日の従量料金単価を前日の19時を目処に知らせ、食洗機や洗濯乾燥機など予約機能がついている電気製品を中心に、電気の使用時間における行動変容を促す。
荒井氏は「EVカーは動ける蓄電池なので、災害時は給電所に出向き充電して戻り、街区内に放電することも可能。太陽光発電量が少ない時は系統電力から電気を買ってくるが、その電気も非化石証書を組み合わせることで、実質的に再生可能エネルギー100%を実現している。Looopでは、第1号になる浦和美園E-フォレスト 第3期をしっかりと構築し、この仕組みを全国に拡大して脱炭素化を進めたい」とした。
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