ここ数年の仮想現実(VR)/拡張現実(AR)製品の方向性を知りたいなら、チップメーカーQualcommの動向を追うのが手っ取り早い。Qualcommのプロセッサーは現在、多くのAR/VRヘッドセットに搭載されている。同社が米国時間5月20日に発表した最新のARグラス用リファレンスデザイン「Wireless AR Smart Viewer Reference Design」は、ワイヤレスでスマートフォンに接続される未来を示している。
スタンドアロン型ARヘッドセット「Hololens 2」はかさばるし、「Magic Leap 2」は別途外部に接続されたプロセッサーを必要とする。Qualcommはすでに、ARグラスとスマートフォンをUSB-Cで接続する初期のトレンドで先行しているが、最初の製品群は、ぎこちないデザインやケーブル接続のほか、スマートフォンのソフトウェアや機能面で不足する部分があった。
Qualcommが構想する次世代ワイヤレスグラスは、ソフトウェアの問題をまだ解決できていない可能性はあるものの、ハードウェアはかなり向上しているようだ。このバイザー型グラスは、Metaの「Quest 2」と同様に、「Snapdragon XR2 Platform」を搭載する。最新の無線LAN規格「Wi-Fi 6/6E」に対応し、超低遅延を約束している。
このリファレンスデザインでは、ARグラスとスマートフォンの間で処理を共有する。Qualcommはこうした関係が、将来の低価格で日常的に使われるARグラスの進むべき道だと考えている。Wireless AR Smart Viewerの性能は今のところ、Quest 2やHololens 2のようにすべての処理を本体で行うスタンドアロン型VR/ARヘッドセットにはほど遠いが、QualcommのXR(VRとAR)担当責任者であるHugo Swart氏は、数年後には差が狭まると予想している。同社は、この先1年でWireless AR Smart Viewerのデザインを採用する製品群で勢いをつける計画だ。一方、より大型のスタンドアロン型VR/ARヘッドセットは5Gに対応していく。
Swart氏は、メーカー4社がすでに、Qualcommのリファレンスデザインに基づく製品の開発に取り組んでいることを明らかにした。Qualcommは1月、次世代ARグラス向けチップ開発でMicrosoftと提携すると発表している。一方で、HTC、レノボ、Motorolaはこれまでたびたび、QualcommのAR/VR関連の先進技術を早期に採用してきた。
Wireless AR Smart Viewerの特に目を引く仕様は、最大90Hzのフレームレート、解像度1920x1080ピクセル(左右それぞれ)のマイクロ有機EL画面、ハンドトラッキングおよびアイトラッキング機能、Bluetooth 5.3とWi-Fi 6/6Eのサポート、「6自由度」(6DoF)モーショントラッキング用のデュアル前面カメラ、カラーの動画を保存できるRGBカメラなどだ。AR映像の視野角は約40度になる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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