パナソニックは5月13日、大林組とパナソニックコネクトが共同で、建設作業員へのサービス提供に向けた「顔認証を活用した統合IDプラットフォーム」の構築に着手し、実証実験を実施したと発表した。
今回2社が取り組んだのは、生体認証技術の一つである顔認証を活用し、作業員がカードやデバイスを持つことなく本人であることを証明できる統合IDプラットフォームの構築。プラットフォームに顔画像情報と本人情報をID連携することで、顔認証であらゆるサービスが利用可能となる。
実証実験では、2025年に大阪・関西万博の開催を予定する夢洲(ゆめしま)の建設工事を想定し、作業員のシャトルバスへの乗降や建設現場への入退場時において、顔認証の確実性とスムーズさを実験し、サービスの提供による利便性や快適性が向上できることを確認した。
統合IDプラットフォームには、パナソニックコネクトが開発中の「Hybrid-ID」の適用を想定し、顔認証には同社のクラウドサービス「KPAS(ケイパス)クラウド」を利用。バスの乗降口付近や、建設現場の各所に設置したタブレット端末により、事前に登録した建設作業員の顔画像との照合を行い、認証精度を確認した。
屋内、屋外、時間帯の違いなどの環境変化、顔の露出量、マスクやヘルメットの着用など条件変化を加えながら繰り返し認証を実施した結果、誤って認証される事象は発生しなかったという。認証と同時にサーマルカメラを利用した体表面温度測定もできたことから、感染リスクの低減に向けたサービス拡大の可能性が示されたとしている。
シャトルバスを想定した実験では、大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)の協力のもと、路線バスおよび2種類の観光バスを使用し、乗降口で顔認証し乗車する平均乗降時間を算出。想定乗車人数を1台40人とした場合、平均して3分半程度で乗降ができた。
さらに、建設作業員に、顔認証技術の印象や顔画像を使った建設現場サービスへの期待度についてヒアリングを実施した結果、登録作業の分かりやすさや認証の技術的な面で、8割以上が「満足」と回答。手荷物を持ったままや、マスクやヘルメット装着でも認証されることから、現場内のセキュリティエリアへの入場チェックや、重機利用時の非接触認証への期待の声もあがったという。
今後2社は、今回の実証実験結果をもとにサービスの具体化を進め、顔認証を活用したシャトルバス運行と入退場管理の実用化を目指すとともに、将来のスマートでサステナブルな夢洲まちづくりへの応用も想定しつつ、顔認証による統合IDを基盤としたサービスの拡充を進めていく予定だ。
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