ほとんどの仮想世界では、交流に関するルールは緩やかであるため、多くの場合、行動の規範を把握するのは困難だ。「VRChat」で手当たり次第に空間を散策したり、仮想世界アプリの「Rec Room」で当てもなくさまよったりしてみれば、筆者の言おうとしていることをお分かりいただけるはずだ。通常、アバターはせいぜい半分しか効果を発揮できていない。既存のコミュニティーをうまく利用することと、行動規範を決めておくことは、大きな助けになる。メタバースの定義はまだはっきり定まっていないので、おそらく、既存のしっかりとしたコミュニティーから始めるのが最善の策だろう。
筆者がこの2年間に見た中で、最も規模が大きかったメタバースの集まりの1つがバーチャル版の「Burning Man」フェスティバルで、これもAltspaceVRで開催された。Burning Manの指針を仮想空間で再現したイベントおよび組織であるBRCvrは、2020年のパンデミック発生時に、隔離された場所で開催されていた、現実世界のイベントBurning Manの代役を果たし、その形態は2021年も継続された。BRCvrの創設を主導したAthena Demos氏とDoug Jacobson氏は、仮想コミュニティーを成功させる鍵について多くのことを学んだと話している。指針の確立と発展がその1つだ。クリエイターと参加者に、バーチャル空間における行動がどのようなものであるべきかを再認識させるために、Burning Manとしての信条が利用された。
Demos氏は「Zoom」での通話で、「1人の力ではできない、大きなプロジェクトを作らなければならない、というのが指針の1つだった」と語った。「それこそが人々の参加を促す。参加、そして完全な包括性というのが指針だ。プラットフォームの構築は誰でもやっているが、そのコミュニティーの側面について考えることをしていない」
BRCvrのクリエイティブなプロセスは、Zoomでの体験から始まり、そこからVRに移行することが多かった。クリエイティブチームは、参加者がつながりと結び付き、所属意識を感じること、そしてそれが続くことを望んでいた。そしてDemos氏は、現実のBurning Manを模したVRの大地で、訪問した人が、自身は傍観者ではなく参加者だと感じられるようにしたいと考えていた。
「そこに参加するということは、どんな体験なのか。どうすれば彼らにもっと関与してもらえるのだろうか。そのように考えることがコミュニティーを構築する」とDemos氏は、コミュニティーを引き込もうとしているメタバース空間に欠けているものについて語った。「そうすれば、人々がプラットフォームを利用してくれるようになる」
BRCvrのフェスティバルには、イベントのモデレーションをサポートするコミュニティーボランティアのレンジャーと、道を案内する出迎え役の人がいた。Demos氏とJacobson氏は、物理的な会場で実際のイベントを計画する場合と同じように、責任は、必ずしもプラットフォームにあるわけではなく、イベントの主催者も責任を負わなければならない、と語った。
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