三井不動産は4月22日、「東京ミッドタウン八重洲」に導入する各種ロボットサービスの詳細を発表した。デリバリー、清掃、運搬ロボットを採用し、オフィスまで届けるフードデリバリーを実現するほか、清掃業務の省人化、重量のある荷物の簡単運搬などを目指す。
東京ミッドタウン八重洲は、東京都中央区八重洲に8月に竣工予定の商業ビル。地上45階、地下4階のA-1街区と、地上7階、地下2階のA-2街区から構成される。オフィスのほか、店舗やバスターミナル、ホテルなどを擁し、2023年3月グランドオープンを予定。三井不動産としては、六本木、日比谷に続く3つ目の「ミッドタウン」ブランドを冠する。
三井不動産 ビルディング事業部の山口周平氏は「実証実験などではなく、ロボットサービスを本格導入することがポイント。ビルのエントランスから執務室まで完全タッチレス化を実現したオフィス構造とあわせ、大きな差別化になると思う」と期待を寄せる。
導入するのは、デリバリーロボット「RICE」(アスラテック)6台、清掃ロボット「RULO Pro」(パナソニック)8台、運搬ロボット「サウザー」(Doog)5台の計19台。「導入台数については三井不動産のビルの中では一番多く、本導入で19台というのは聞いたことがない」(山口氏)とのこと。
デリバリーロボットと清掃ロボットは、完全自律走行ができ、エレベーターと連携して、垂直移動に対応するほか、セキュリティドアを通過できる水平移動性能も備える。「ビル内におけるロボット導入には2つの障壁があり、それが垂直、水平移動。エレベーター、セキュリティドアとの連携ができず、導入が難しかった。東京ミッドタウン八重洲では、エレベーターとセキュリティドアの連携を通信で実現し、ロボットが単独でエレベーターに乗り込める。加えて、ビル内のほとんどのフロアで自動ドアを採用しているため、共用部などに入っていける仕組みを整えた。通常オフィスなどのドアはレバーハンドルがついており、この開閉が大きな課題になっていたが、タッチレスも実現する自動ドアの導入より、この課題を解決できた」(山口氏)と話す。
デリバリーロボットは、デリバリー事業者がロボットに品物を格納し、ロボットが自立でエレベーターに乗り、指定された階へ移動、オフィスで働く人に品物を届けるという流れ。今まで、配達員からオフィスロビーで受け渡しをしており、高層階で働く人はロビーまで降りて品物を受け取るという行為が必要だったが、それがなくなる。品物を届けた後は、ロボットは再び充電ステーションに戻る。
清掃ロボットは、建物の実施設計者である竹中工務店とともにロボットフレンドリーな建物を構築し、ロボットがエレベーターを自分で呼び、乗降する階を指定することで完全な省人化を実現。従来は、清掃ロボットを導入してもエレベーターの乗り降りに人がついていなければならず、完全な省人化にはつながらなかったという。
運搬ロボットは、重量のある荷物を誰でも移動させることが可能になり、女性や高齢者などの仕事をサポート。ボタンを押すと人の足の形を認識し、前に歩く人についていく仕組み。旋回できる広さを確保した廊下など、ロボットが動きやすいビル構造になっている点も大きいという。
各種ロボットとエレベーターやセキュリティドアなどとの設備連携は、サービスロボットをインテグレーションするための統合管理機能を提供するソフトウェア「RoboticBase」(TIS)を使用。運搬、清掃、案内、警備など種類の違うサービスロボットやセンサー、カメラ、サイネージなどのIoTデバイスを統合管理する基本機能を備える。
「東京ミッドタウン八重洲は、多くのロボットを導入できるよう自動ドアになっているので、ほかの物件よりも導入しやすくなっている。既存ビルにおいては、垂直移動であるエレベーターの連携はできるところもあると思うが、一番の課題は水平移動。コストをかければできるかもしれないが、その判断ができるかどうか。新築ビルのほうが導入しやすい。今回デリバリー、清掃、運搬ロボットを導入したが、より効率的な作業ができるロボットがあれば、ぜひ導入していきたい」(山口氏)とした。
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