スマートアパレルが普及しない理由--ヘルスケア業界のホープの課題

David Lumb (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2022年04月27日 07時30分

 10年以上前から、ファッションとアパレルの明るい未来がまもなくやってくると宣伝されてきた。センサーと次世代の繊維を用いたスマートアパレルは、私たちの衣服をヘルストラッカーに変身させる可能性を秘めている。

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スマートアパレルは非常にチャンスのある領域だと長年考えられてきた。普及しなかったのはどうしてだろうか。
提供:metamorworks / Getty Images

 こうしたアイデアを提唱しているのは、スタートアップだけではない。Levi'sやUnder Armourのような企業も、タッチ操作でショートカットを利用できるジャケット、日常生活の中で装着者の動きや健康状態に関する情報を追跡するワークアウトギアなどのアイデアを考案してきた。

 しかし、これらのアイデアはまだ現実世界で確固たる成功を収めていない。研究者はセンサーや回路を衣服に織り込む技術を改良してきたが、スマート繊維は通常の衣服に比べると耐久性や防水性が低く、正常に機能するためには、常に装着者の肌に触れている必要がある。さらに、もっと大きな問題もある。スマートウォッチがあらゆる種類のヘルスデータを記録できるようになった今、スマートアパレルの方が適しているユースケースがまだ見つかっていないのだ。最新の「Apple Watch Series 7」は、睡眠とエクササイズのデータを追跡するほか、心拍数を監視して不整脈や睡眠時無呼吸症候群の兆候を検知する機能も備える。しかも、時計は毎日装着できるデバイスだ。

 ニューヨーク州立大学バッファロー校で生体医工学教授を務めるAlbert Titus氏によると、「Apple Watch」のようなデバイスは、人気の高まりとともに、スマートアパレルの必要性の多くを先取りしてきたという。「自分のスマートウォッチで脈拍数を測定できる。シャツで脈拍数を測定できるようになったとしても、スマートウォッチを装着する方が楽だ」(同氏)

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現状スマートアパレルはほとんど普及しておらず、機能もシンプルだ。ありきたりの生地にセンサー類をしまったケースが取り付けられてたものが大半だ。
提供:Maridav / Getty Images

スマートウォッチにはない強みを

 今日の市場には、いくつかのスマートアパレルがあるが、それらはすべてニッチな問題を解決するものだ。ヨガパンツの「Nadi X」は、振動する触覚フィードバックを備えたクリップオン式センサーと、ペアリングされたアプリを使用して、装着者の姿勢を改善する。スマートソックスの「Sensoria」は、ランニング中の足の運びとケイデンスを測定する。

 LikeAGloveは、2014年の創業以来、体型を測定する下着の販売を徐々に拡大している。「ProGlove」は、倉庫作業員向けのウェアラブルスキャナーで、製品をより効率的にスキャンできるようにする。こうしたテクノロジーのターゲットは大人だけではない。「Owlet Dream Sock」は赤ちゃんの足にぴったりとフィットし、睡眠データを記録する。

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