近い将来、健康に関する特定の問題を一定の期間、解決するスマートアパレルが登場するとTitus氏は考えている。例えば、膝の人工関節置換術を受けた人は、治癒するまでの間、スマート膝装具を使用して、リハビリ運動と膝の矯正を進められるかもしれない。だが、長期的に見て、消費者がスマートウォッチやフィットネストラッカーを使用する代わりに、毎日同じスマートシャツやスマートアパレルを着用するようになる、というのは考えにくいだろう。
スマートアパレルを毎日着たくなるような「キラーアプリ」が登場する前に、デザイナーは、衣服でなければ解決できない問題を特定する必要がある。アナリスト企業IDCのリサーチディレクターを務めるRamon T. Llamas氏は、「スマートアパレルでなければ解決できない問題が見つからない限り、スマートウォッチやフィットネストラッカーにさらに後れを取るだろう」と話す。「有望な用途がなければ、これらのセンサーはすべて無駄になる」
Llamas氏は、スマートアパレルの有望な用途の1つとして、Owletの乳児用スマートソックスを挙げた。同氏によると、保護者は299ドル(約3万8000円)と引き換えに、睡眠の異常を検出できるという安心感を得られるという。うまくいけば、乳幼児突然死症候群(SIDS)のような悲劇が起こる前に、そうした異常を検出できる。小児科医はスマートソックスによるSIDS検出の精度に疑問を呈しているが、Owletのセンサーは、手首に装着するウェアラブル機器では解決できないニッチな問題の解決策を提供する(同社は米食品医薬品局(FDA)の警告書を受けてから、米国でのスマートソックス販売を停止している。血中酸素濃度と脈拍数を測定して医学的問題を診断する製品を同局の承認無しに販売していることが問題とされた)。
「あらゆる人の問題を解決する必要はないが、何らかの問題を解決する必要はある」(Llamas氏)
ただし、体に関して、スマートウォッチよりも多くの測定値を収集できるだけでは、不十分だ。収集するデータは、有用性かつ拡張性を持たなければならない。医療従事者は病院の外で患者に関する一連の完全なデータを求めるかもしれないし、軍の司令官なら、戦場で兵士の健康状態に関する情報を追跡するだろう、とTitus氏は仮説を立てる。
「スマートアパレルは、スマートウォッチよりも多種多様な情報を大量に収集できる可能性を秘めている」とTitus氏は語る。「それが可能であることを研究者らが実証しているが、(われわれは)1000枚、1万枚、10万枚のシャツといった規模でそれを実現できる段階には、必ずしもまだ到達していない」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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