富豪として知られるElon Musk氏がTwitterに巨額の買収提案を持ち掛けている。
Musk氏が、この大きな影響力を持つソーシャルメディア企業の価値として見積もった金額は、1株当たり54.20ドル、総額430億ドル(約5兆4000億円)だ。TeslaやSpaceXを経営するこの起業家は、すでにTwitterの株式の9.2%を保有している。
同氏は米国時間4月14日、Twitterの取締役会長Bret Taylor氏に書簡を送り、「現在のやり方ではTwitterは成功することも社会的要請に応えることもできない」と述べた。「Twitterにはとてつもない可能性がある。その可能性を私が引き出す」
約2週間前にMusk氏がTwitterの株式を取得したことを明らかにして以来、同氏とTwitterの関係はめまぐるしく変化してきた。その新たな動きが、Musk氏が「最善かつ最終」と呼ぶ今回の買収提案だ。今やTwitterの大株主である同氏がTwitterの取締役就任を辞退したことを受け、今度は同社に敵対的買収を仕掛けるのではないかという憶測が飛び交っている。
TwitterとMusk氏の間で進行中の動きについて、現在の状況をまとめた。
Musk氏はTwitterの熱心なユーザーで、8100万人ものフォロワーを持つ一方、Twitterを声高に批判してきた人物でもある。
3月には自身のフォロワーを対象にTwitter上でアンケートを実施し、Twitterは言論の自由の原則に「厳格に従っている」と思うかと尋ね、この結果は「非常に重要」なものになるとした。このアンケートには200万人が参加し、約7割が「いいえ」と答えた。
米国憲法修正第1条は政府による言論の検閲を規制するもので、Twitterのような企業には適用されない。Twitterは許容されない行為について、独自のルールを定めている。
Musk氏はこのアンケートの後、「Twitterは事実上の都市広場(公共の場)として機能している。そう考えると、同社が言論の自由の原則を守らないことは民主主義を根本的に損なう行為だ。では、どうすべきだろうか」とツイートした。
Musk氏はTaylor氏に宛てた書簡の中で、Twitterの株式を取得したのはTwitterが「言論の自由のためのグローバルなプラットフォームとなる可能性」を信じているからだと述べた。しかし、この可能性を実現するためには、Twitterは非公開企業となる必要があるとMusk氏は考えている。
Twitterは14日、この買収提案を受領したことを認めるプレスリリースを発表し、「取締役会が提案内容を精査し、会社とすべてのTwitter株主の最善の利益になる行動を決定する」と述べた。15日には、「ポイズンピル」(毒薬条項)として知られる防衛策を期間限定で導入すると発表した。これにより、Musk氏は株式の大半を取得することが難しくなる。ただし、取締役会がTwitterと株主にとって最善の利益になると考える場合、同社が買収提案を受け入れたり、他の組織と関わったりすることを妨げるものではないという。
Twitterの最高経営責任者(CEO)Parag Agrawal氏は10日、従業員に「これから騒がしくなる」と警告したものの、まだMusk氏の買収提案に対して公にはコメントしていない。The Vergeによると、Agrawal氏は従業員に対し、同社はまだ提案内容を評価している段階であり、「株主の最善の利益になる」判断を下すと伝えたという。
共同創業者のJack Dorsey氏は15日、「上場企業として、Twitterは常に『売り出し中』の状態にある。これが本当の問題だ」とツイートした。
決定の具体的なタイミングについては即答を避けた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?