モビリティSaaS「Park Direct」のニーリーが総額19.4億円の資金調達

加納恵 (編集部)2022年04月06日 10時03分

 モビリティSaaS「Park Direct(パークダイレクト)」を運営するニーリーが4月6日、総額19.4億円の資金調達を実施した。SBIインベストメント、スパークス・グループ(未来創生3号ファンド)、三菱UFJキャピタル、新明和工業、横浜キャピタル、静岡キャピタル、小僧comを割当先とする。駐車場契約に特化したサービスから、データを活用したモビリティ領域の事業へと拡大を目指す。

モビリティSaaS「Park Direct(パークダイレクト)」
モビリティSaaS「Park Direct(パークダイレクト)」

 ニーリーは2013年に設立。当初は大手企業などの新規事業創出やDX戦略などの開発を手掛けていたが、2018年に「自ら事業を立ち上げたいと考え、いくつか検討した事業のうちの1つだったPark Directを始めた。駐車場の契約をオンラインにすれば伸びる可能性があると思った」(ニーリー 代表取締役の佐藤養太氏)ときっかけを話す。

ニーリー 代表取締役の佐藤養太氏
ニーリー 代表取締役の佐藤養太氏

 「駐車場を借りる時は、駐車場内にある看板を見て、電話をしてという手順が一般的。でも電話をしてみるまで賃料もわからないし、空いているのかも明確ではない。さらに借りられるとなっても、今度は駐車場を管理している不動産会社に出向き、書類を用意して、契約するという流れ。これは大変だなと」(佐藤氏)と駐車場契約の流れを説明する。

 Park Directは、月極駐車場の検索、申込から契約までをオンラインで完結するサービス。電子契約のシステムを独自で開発するなど、駐車場を探すから借りるまでのオンライン化を徹底する。

 駐車場は不動産と同様に、不動産管理会社がオーナーから管理を任されているケースが多い。「駐車場は、月極とマンションなどの物件に付随しているものの、大きく分けて2つがあり、いずれも管理しているのは地域の不動産管理会社。しかし、物件に比べると売上も低く、効率も悪い。なかなか手の周りづらいところだが、駐車場の管理がきちんとできないと物件の管理も任せられないと思われてしまう懸念もあり、おろそかにはできない部分」(佐藤氏)とその位置づけは重要だ。

 そこで、ニーリーでは不動産管理会社を周り、1件ずつ契約を取り付ける。「Park Direct自体はオンライン化を徹底しているが、不動産管理会社へのアプローチはすべて電話。1つずつ実績を積み上げてきた」(佐藤氏)と話す通り、2021年のPark Directの決済総額は前年比41.6倍という伸びを示す。

 現在では、インサイドセールスとフィールドセールスに分け、インサイドが電話でアポイントを取り、フィールドが管理会社を訪れて契約に結びつける。「電話の内容をすべてフィールドの営業担当者が聞いた上で訪問することで、スムーズな営業ができるよう心がけている。集客に困っているのか、コストを削減したいのか、先方の困りごとを理解した上で、提案することで成約の確率は上がっている」(佐藤氏)と手法を明かす。

 順調に契約数を伸ばすPark Directだが、ニーリーが目指すのは、駐車場に関するデータを活用したビジネスだ。「駐車場をキーに車の持つ情報を活用していきたい。例えば、自動車に関連する広告を出したい場合に、私たちのデータを活用すれば、確実に車を持っている人に情報を届けられる。ガソリンスタンドと組んでガソリンのクーポンを配布したり、保険会社と組んで自動車保険が切れるタイミングで新規加入を促したりと、データ活用の幅は広い」(佐藤氏)と車に特化した使い方を打ち出す。

駐車場におけるデータを活用し、集客力と高い契約率を誇る
駐車場におけるデータを活用し、集客力と高い契約率を誇る

 さらに見据えるのはEV化だ。「電気自動車のデメリットは充電に時間がかかるところ。急速充電でも30〜40分は必要だし、そもそも充電できる場所がまだ少ない。この課題を解決すべく、駐車場のEV用充電スタンドの設置や、さらにはサブスクリプションでこれを利用できる仕組みを整えていきたい。今回の資金調達によってこうした世界観に近づけていく」(佐藤氏)と今後を描く。

 すでに駐車場におけるデータを活用し、集客力と高い契約率を誇るというPark Direct。「お客様が検索した各駐車場におけるページビューを見て、どのくらい見られて、どの程度契約に結びついているのかなどデータ解析は常にしている。そうしたデータをもとに、駐車場に掲示する看板の高さや位置も管理会社の方にお知らせするなど、支援している」(佐藤氏)と不動産管理会社へのサポート体制も整える。

 「サービスを開始した当初は、なかなか事業が軌道に乗らず大変だった。しかし、コロナが追い風となり、不動産業における非対面のニーズが顕在化されたほか、法整備も進んだ。軌道に乗ってからは急激な需要に対し、対応するスタッフの数が追いつかず、社内にも迷惑をかけた。これからは採用面も強化していく」(佐藤氏)と事業成長に伴う痛みを乗り越え、新たなステージへと進む。

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