Appleは米国時間3月30日、サプライチェーンに関する年次進捗報告書の2022年版を公開し、サプライヤー従業員を対象とした5000万ドル(約61億円)の基金を立ち上げることを明らかにした。この「サプライヤー従業員育成基金」には、サプライヤー従業員の職業能力開発を支援するとともに、教育関連の取り組みや職場での権利を擁護する目的があると、Appleは発表の中で述べた。
2022年版の年次報告書によれば、Appleのサプライチェーンは52の国と地域にまたがる300万人以上の労働者で構成されているという。この報告書は、Appleの環境イニシアティブ、健康と安全に関する対策、強制労働の防止に向けた戦略をまとめたものだ。
Appleはこの報告書の中で、2021年には同社の「サプライヤー行動規範」に対する「重大な違反」が11件見つかったとしている。そのうちの9件は労働時間の上限超過を隠ぺいするための勤怠記録の改ざんで、残りの2件は外国人契約従業員に対する就職あっせん手数料の強制徴収だった。重大な違反の件数は2020年の10件からやや増加したが、2017年、2018年、2019年に報告されたそれぞれ45件、29件、18件と比べると減少している。
新設の基金についてAppleは、2023年までに10万人以上のサプライヤー従業員が、新たな学習プログラムを利用するとの見通しを示している。このプログラムでは、プログラミングや製造技術のクラス、技術認定、リーダーシップトレーニングなどのメニューを用意する予定だ。
さらにAppleは、国際連合の専門機関である国際労働機関(ILO)や国際移住機関(IOM)と連携して、労働者の権利向上のためのプログラムやシステムを導入するとしている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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