パナソニックは3月18日、同社のマニュファクチャリングイノベーション本部が開発した、植物由来のセルロースファイバーを高濃度に樹脂に混ぜ込む技術を、植物由来の樹脂(バイオポリエチレン)へ展開し、バイオマス度90%以上の成形材料を開発したと発表した。
バイオマス度とは、材料に含まれる植物・生物由来の原料(バイオマス原料)の割合のこと。溶かした材料を金型に流し込み、製品の形にすることを「成形」といい、成形できる素材を「成形材料」という。
パナソニックは、2015年に石油由来の樹脂量を減らす研究開発活動を開始し、2021年に70%濃度(バイオマス度70%)で樹脂に混ぜ込む複合加工技術を開発。同年12月に高濃度セルロースファイバー成形材料「kinari」のサンプル販売を開始している。
さらにバイオマス度を高めるため、石油由来樹脂(ポリプロピレン)を植物由来樹脂に置き換える開発を進め、サトウキビの搾りかすである廃糖蜜から作られる、バイオポリエチレン(バイオマス度90%以上)に着目した。しかし、バイオポリエチレンはポリプロピレンの約半分の強度であり、セルロースファイバーを混ぜ込むだけでは強度物性が低く、展開先が限られていたという。
今回、適正な添加剤を加えることにより、成形材料としてバイオマス度90%以上で、ポリプロピレンを用いたkinariと同等の強度物性を達成。これまでのkinari同様、着色自由性が高い白色の樹脂ペレット化に成功し、成形時に素材そのものを褐色化させることで、木質感などの高いデザイン性も実現する。
パナソニックでは今後、今回の形成素材を家電筐体や車載機構部材、大物家電外装や美容家電、服飾衣料品や日用品に加え、飲料・食品容器等への展開を進めるとともに、さらなるバイオマス度の向上を目指す考えだ。
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