続く質疑応答では、本誌CNET Japan編集長の藤井涼がモデレーターを務め、講演の内容を深化させていった。そのなかで西野氏は、「化粧品は、大きな括りだと消費財だが、価格幅が大きくブランドビジネスそのものだと思う」と話し、メーカーが意識するべき「2つの価値」について説明した。
「メーカーは、機能的価値を重視して商品や製品を開発するが、一方でそこに囚われすぎると、いずれは追随されて、差別化が図れなくなってしまう。そうなると、価格だけの戦いに陥ってしまう。だからこそ想いやポリシー、ストーリーなどでお客様に共感していただくことが非常に重要。資産的価値を意識しながら、機能的価値を尖らせていくというのが、開発においては注意したポイントだった」と西野氏は話す。
また、セグメントマーケティングに陥らないことも重要だと話した。「30代でも50代でも、ソリューションは一緒かもしれないし、同じ30代で同じ肌質でも、美容の価値観が異なればご提案するものは変わってくる。やはり、顧客が解決したいこと、ベネフィット(提供すべき価値)でセグメントしていかなければいけない」(西野氏)
藤井から、「外部との共創で苦労したことはあるか」と尋ねられると、「ゼロからイチを、異なるフィールドにいる者同士で作り上げていく難しさ」を挙げた。その対策として、「初期の頃のミーティングには、ハードウェアのエンジニア、アプリのエンジニア、PR担当も……というように、議論の場には全員参加で臨んだ」ことを明かした。「一見すごく非効率かもしれないが、皆が同じゴールを見て何が良くて何が悪いかの判断基準を共有し、かつ自分ごと化できる。本音でぶつかれるようになり、一緒に成し遂げたいという想いも強くなった」(西野氏)
視聴者からは、「未来を見ているキーマンの見つけ方」も、質問に上がった。西野氏は、「自分自身が考えていることや、モヤモヤしていることも気軽に語れる1on1の場を、定期的に作っている」と回答。そうすると、「実は……」と、思いや意志を持つ社員が現れるのだという。
最後に、カンファレンス共通の質問「共創の一番の価値とは何か」について、西野氏はこのように答えた。
「共創によって、新たな価値や未来の選択肢が増えてくることはとても重要だと思うが、他者と触れ合うことで、盲目的になっていたことにハッと気づけるところが実は大事だと考えている。単に足りない技術面を補うとかではなく、共創して結果的に、自分たちの強みやいいところを改めて再認識でき、さらにパワーアップしていけるところこそ、共創の価値ではないかと、実際にやってみてそう感じている」(西野氏)
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