Robot Home、大変革の3年間を古木代表が振り返る--DXのゴールは「不動産経営の自動化」

加納恵 (編集部)2022年03月14日 08時30分

 Robot Homeのこの3年間は大きな変革期だった。主力であったアパート販売などのフロービジネスからPMプラットフォーム事業などのストックビジネスへと切り替え、利益構造を変化。2021年12月期の決算では、前年同期に比べ、営業利益、経常利益がともに赤字から黒字へと大幅な収益改善を図った。その背景には「不動産DXが大きな役割を果たしている」という。不動産DXを実践したRobot Home 代表取締役CEOの古木大咲氏に話しを聞いた。

Robot Home 代表取締役CEOの古木大咲氏
Robot Home 代表取締役CEOの古木大咲氏

DX推進が導いたストック型ビジネスへの転換

——この3年間で事業内容が大きく変化されたそうですが、現在の内訳を教えて下さい。

 以前主力だったアパート販売などのフロービジネスは売上の5%程度で、現在の主力はストック型ビジネスです。AI・IoT開発販売や導入支援、PMプラットフォーム事業などが該当し、これが全体の95%を占めています。ストック型への転換は確実にできたと考えています。

——ストック型ビジネスにシフトした理由はどこにあるのでしょう。

 私たちが目指しているのは「不動産経営を自動化する」こと。これを実現するためには、入居者、オーナー、賃貸仲介、賃貸管理と不動産に関わるすべてのプレーヤーをつなぐ必要があります。この役割を果たしているのが、賃貸住宅のIoTプラットフォームである「Residence kit(レジデンスキット)」。顧客向けの「for Customer」のほか、「for Owner」「for PM」「for Maintenance」「for Agent」と展開しており、これが業務の可視化に役立っています。

賃貸住宅のIoTプラットフォーム Residence kitの概要
賃貸住宅のIoTプラットフォーム Residence kitの概要

 SaaSモデルのため、導入もしやすく、Residence kitの登場がストック型ビジネスを後押ししたと言えるでしょう。

——2月に発表された2021年12月期の決算は、売上高は減収になったものの、営業利益と経常利益が黒字転換を果たしています。

 Residence kitの利益率が高かったこと、PMプラットフォーム事業の収益が改善したことなどが主な要因です。加えて販管費がぐっと下がったことによって、コスト効率がよくなり、利益に結びつきました。

2021年12月期 決算概要
2021年12月期 決算概要
セグメント別の売上高と営業利益
セグメント別の売上高と営業利益

 コスト削減については、DXが大きく寄与しています。自社で持っている賃貸管理システムに機械学習を組み合わせることで、どの業務にどれだけ時間がかかっているのか、という業務の可視化や、入居者の感情分析にも取り組んでいます。感情分析は入居者と担当者のチャットのやり取りなどから見ていくのですが、この辺りも機械学習の効果が出ていると思います。

 当社の新たなDXの取り組みでは、福岡にインテリジェントセンターをオープンする予定です。Robot Homeでは、東京のほか、大阪、名古屋、仙台、福岡と5つの拠点を持っていますが、それぞれで管理している賃貸管理事業を福岡のインテリジェントセンターで集中管理できるようにします。そのほかの拠点については、オーナーの方のサポートやリーシング会社とのやりとりなど、現地でしか出来ないことに特化していきます。

 当社はテクノロジー分社への投資も積極的に行って参りますので、エンジニアも数十名規模で募集します。昨今のエンジニアの採用はどの企業でも非常に厳しい状況だと思いますが、エンジニアの方は面白いと感じる仕事であれば、入社してくれると考えていますので、他社にはない魅力的な環境を提供できると自負しています。

——どのあたりがユニークさだと感じていますか。

 不動産業における実業とテクノロジーの両方を持っている点ですね。賃貸管理業は、無駄な部分がまだあると考えていますので、改善の余地がたくさんある。しかし、実業だけをシステム化しただけでは、根本的な業務改善はできない。特に日本の企業は、ヒューマンリソースに依存している部分が多いので、この部分の改善は実業をもっていなければ決して気づけません。そうした、システムを作る上でのメリットを、エンジニアの方に感じていただけるのではないかと思います。

 実際、Robot Homeでは、業務フローをいちから見直すことで営業利益増を実現しました。この実例を広く横展開していきたいと考えています。

——ほかの不動産会社に新しい業務管理システムを提供するということですか。

 ターゲットにしているのはその土地に根付いた不動産業を展開している企業です。紙や電話での業務を主体している会社にSaaSを導入することで、抜本的に業務を変えていきたい。不動産業をDXしたいけれど困っている企業はたくさんあると思います。その部分の課題解決を一緒にしていきたいと思っています。

——不動産業における課題解決を、利益増に結びつけられた理由はなんですか。

 「不動産業を自動化する」というビジョンをきちんと描けたからだと思います。その目標に向かって、実業のスタッフもエンジニアも全員が走り出している。会社は方向性を見失うと成長戦略が描けなくなります。不動産業を自動化するにはどうしたらいいか、と考えた上で、業務を可視化しよう、ヒューマンリソースに依存している部分をシステム化しようという判断ができる。もちろんまだ課題は多いですが、そうしたビジョンを経営層がしっかりと描く、それを各担当者に伝えることで、同じ方向に向かっていけるのだと思います。

 業務を可視化していく過程で、新たな気付きもありました。集合住宅の清掃などのメンテナンスは外部委託会社に丸投げで、そこに無駄が多かったんです。適切な人材に適切なルートで回ってもらえば、効率化できる。その部分に気づきました。ただ、このルート検索は人間の手で解読するには複雑すぎる。そこで、機械学習を使ってルートを最適化しました。

 清掃はマンションごとに箇所が異なったり、オーナーからの要望があったりとシステム化は難しい部分なのですが、清掃スタッフの方にアプリで清掃箇所などを伝えることで、スムーズな管理が可能になりました。終了後には写真を撮影してもらい、レポートまで自動生成できる。清掃スタッフの方と直にやりとりする関係を築けたことで、中間マージンの削減にもつながりました。

 この取り組みは、オーナーの方にも寄与する部分が多く、退去後の清掃を素早くすることで、空室期間を抑えられます。不動産業のDXが収益向上につながる。これが正しいDXの形だと思っています。

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