それでも、今後、自動車向けチップの安定的な供給を確保するための選択肢は、いくつかある。国外企業が生産能力を高める、あるいは、米国内で生産量を増やすことも可能かもしれない。今後、自動車セクターに限らず、世界のチップ需要は増加していく一方なので、どちらの戦略もこの問題を解決する鍵になりそうだ、とSchuster氏は話す。ゲームやスマートフォン、急成長するモノのインターネット(IoT)は今後、ますます多くの半導体を消費するようになるだろう。
米国内でチップを製造することは重要だが、それは万全の解決策ではない。Fiorani氏は、「最大の問題は、チップ製造工場が一夜にして建設できるものではないことだ」と説明する。同氏によると、新しい施設は特定のリソースがある場所に建設する必要があり、建設には数年とは言わないまでも、数カ月の時間がかかるという。チップ工場は、極めて専門性の高い施設なので、既存の建物をチップ工場に転用することは現実的に難しい。さらに、コストの問題もある。「私が聞いた話では100億ドル」で、それは初期コストに過ぎない、と同氏は語った。半導体の製造は、極めて資本集約的なビジネスであり、それがもう1つのハードルとなっている。
だが、また別の選択肢もある。それは自動車業界でチップコンソーシアムのようなものを設立することだ。Fiorani氏は、これが将来の供給のボトルネックを防ぐ最良の方法かもしれないと言う。その一方で、競争の激しい自動車業界の企業各社を連携させて、これほど大規模な構想を進めるのはおそらく非常に難しいことも認めている。
こうした状況で朗報があるとするなら、それは、自動車需要が依然として好調で、企業が生産する自動車やトラックが飛ぶように売れていることだ。チップ不足は2022年に緩和するはずだ、とSchuster氏は述べているが、LMC Automotiveの予測によると、正常な状態(コロナ後の世界で何が正常な状態なのかは不明だが)に戻るのに2022年内いっぱいかかるか、もしかすると2023年の数カ月までかかる可能性があるという。同様に、Fiorani氏は、2022年の後半にはすべてが正常な状態に戻り始め、願わくば自動車生産がチップ不足前の水準に戻っていてほしい、と述べている。
「この分野への投資もあり、政府と業界は自動車向けチップの増産に乗り出している」とFiorani氏は語り、「それで不足を相殺できることをただ願っている」と続けた。もちろん、現時点では不明なことも多いが、半導体不足が自動車業界にもたらした最悪の事態はもう過ぎ去ったと思いたい。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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