多くの仕事と同じように、スタンフォード大学からスパイダーマンへの道も、人との縁がつないだものだった。お世話になった教授の一人が、Disneyの研究部門で働いている知人を紹介してくれたのだ。その人物が、現在の仕事に就くきっかけを作ってくれた。
「彼の仕事は、彼の専門分野と直結してはいなかった」とPope氏は言う。実際、Walt Disney Imagineeringでは建築家からデザイナー、エンジニアまで、幅広い分野の専門家が働いているが、会社の究極の目標は魔法をかけることだ。イマジニアたちは単にロボットを作ったり、衣装をデザインしたりしているのではない。夢の世界を生み出そうとしているのだ。この記事の執筆時点で、Walt Disney Imagineeringの求人ページには土木技師、ソフトウェアエンジニア、ショーディレクター、デザインインターンといった職種が並んでいる。
スパイダーマンのショーに使われているスタントロボットの原点は、Pope氏が大学院時代に取り組んだ小さなロボットとほとんど変わらない。最初に作られたのは、可動式の重りを入れた小さな箱だった。重りを変えることで、箱の回転速度が変わる。もっとも、箱とスパイダーマンはまったく違う。開発チームは粘り強く作業を続け、箱はやがて棒人間となり、続いて空気人形、電動人形へと進化していった。現在、ディズニーランドで使用されているロボットが完成するまでに、少なくとも10種類の試作品が作られたという。
スタントロボットの開発中、Pope氏とチームがテストを行っていた建物に偶然、俳優のTom Holland氏がやってきた。同氏は映画『スパイダーマン』の最新3部作で主役のピーター・パーカーを演じた人物だ。チームはHolland氏に、同じピーター・パーカー役を演じるロボットの初期バージョンを紹介すると、ロボットにサインしてほしいと頼んだ。Holland氏は快く応じた。Marvel Studiosの社長Keving Feige氏も、この建物を訪れた際にロボットにサインをしている。現在、この2つのサインは3Dプリントされた胸宛てに刻まれ、ショーで使われるロボットたちに装着されている。
Disney Imagineeringでは常にさまざまな開発プロジェクトが動いている。スパイダーマンのスタントロボットは、その最新の成果にすぎない。これらのプロジェクトから生まれる成果は、各地で建設が進められている新しいディズニーパークで使用されることになるだろう。例えば、米フロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールドにはまもなく「Star Wars Galactic Starcruiser」ホテルがオープンし、ワールド内のテーマパーク「エプコット」には「モアナと伝説の海」をテーマにした新しいエリアが誕生する。
「わくわくするようなダイナミックなロボットを作る機会はたくさんあるが、課題も多い」とPope氏は言う。
遠からず、私たちは自力で走り、跳ぶことのできるロボットを目にするだろう。イマジニアの仕事に興味がある人は、Walt Disney Imagineeringのウェブサイトをチェックしてほしい。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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