ADHDの診断がオンラインで簡単に--その是非については慎重な判断が必要 - (page 2)

Jessica Rendall (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2022年02月07日 07時30分

 「メンタルヘルスを取り巻く不名誉なレッテルが剥がれつつあり、人々がメンタルヘルスについて安心して話題にしたり、経験を共有したりできる程度にまでなっているのは、本当に素晴らしいことだと思う」と、コロンビア大学のPsychiatry Faculty Practice Organizationでメディカルディレクターを務めるAdrian Jacques Ambrose博士は話す。ただし、正確な診断を受けることが重要だ。

 ADHDは非常に特異的な神経発達症だが、その症状は必ずしも特異的なわけではない、とAmbrose博士は言う。ADHDは、実行機能を司る脳の部位(ワーキングメモリーを含む)に影響を及ぼし、多くの「ノイズ」を引き起こすことがある。しかし、「集中できない」という症状は必ずしもADHDを意味するわけではない。例えば、集中力の問題はうつ病によって引き起こされることもある。簡単な診察だけでADHDと診断された人の場合、刺激剤による治療がうまくいかない可能性もあるのだ。

 ニューヨーク市を拠点とする神経心理学者のSanam Hafeez博士によると、ADHDの検査で誰もが「はい」と答えがちな、日常的に起こる集中力を削ぐ要因と、生活や人間関係、自尊心に悪影響を及ぼしてきたパターンを区別することも重要だという。

 「医学、特にメンタルヘルス分野の他のあらゆるケースと同じように、症状がその人の生活にどの程度支障をきたしたり、障害となったりしているのかを評価することで、われわれは病気を診断する」(Hafeez博士)

短時間でADHDと診断することの危険性

 自分はADHDなのではないかと思っている人は、1回限りの診断料金(サイトによって異なるが、ほとんどの場合、150ドル~200ドル)を払えば、「Klarity」や「Done」などのサイトを通して、オンラインで医療供給者との短時間の診察を経て診断を受け、(サイトによって異なるが)必要に応じて薬を処方してもらったり、カウンセリングを受けたりすることができる。

 その後、少額の月額料金を支払って、月に1回程度の頻度で医療供給者と連絡を取ることで、ADHD治療薬の処方箋を定期的に受け取ることができる。このサービスを利用できるかどうかや保険の適用範囲は州によって異なる。Doneは医療供給者の診察に関して保険を受け付けないのに対し、Klarityは医療供給者のネットワークに入っていないが、利用者が払い戻しを受けられるように支援すると述べている。

 別のオンライン診断サイト「ADHD Online」では、医療供給者とのビデオ診察が不要だ。患者は自宅で自己評価票に記入した後、博士レベルの心理学者に記入内容を精査してもらい、ADHDかどうかの診断を受けることができる。このサービスは全米50州で利用できるが、治療の選択肢は州によって異なる。ADHD Onlineは「近いうちに」投薬管理を提供すると述べている。

 これらのサービスは、従来の紹介、診断、検査のプロセスを経るよりも、はるかに迅速なので(より安く、より簡単にアクセスできる可能性もある)、実際にADHDを患っている人にとっては、良い選択肢になるだろう。未診断のまま放置すると、ADHDは薬物乱用、うつ病、不安、人間関係や仕事の問題など、他の無数の問題を引き起こすおそれもある。

 「Cerebral」も、ADHDの迅速な診断と治療を提供するウェブサイトだが、それ以外にもうつ病や不安など、他の精神疾患の治療も提供している。利用者は、自分が患っていると思われる病気の検査を受けて、投薬、治療、またはその両方を含む治療計画を立てることができる。毎月の自己負担額が増える可能性もあるが(ただし、保険を利用できる場合もある)、これまでに精神疾患と診断されたことがない人にとっては、より包括的なアプローチだ。処方箋は50州すべてで利用できるが、治療法は州によって異なる。

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