NFTがゲームにやってくる--プレイヤーは準備せよ - (page 2)

Julian Dossett (CNET News) 翻訳校正: 編集部2022年02月02日 07時30分

 Axie Infinityは、「Guild of Guardians」や「Galaxy Fight Club」といったゲームと並び、P2Eのトレンドを象徴する存在となっている。すべてのプレイヤーが家を買えるほどの資産を築けるわけではないが、月に数千ドルを稼ぐプレイヤーは多い。Axie Infinityのプレイヤー数は1日当たり100万人を超え、このゲームを所有・運営するSky Mavisは毎週2900万ドル(約33億円)近くの売り上げを上げている。

 Axie Infinityのプレイヤーは、このゲームで生計を立てる方法をいくつも編み出した。例えばSLPトークンを使ってAxieを繁殖し、他のプレイヤーに売ることは、その1つだ。また、このゲームにはパトロン的な制度があり、タクシー会社がドライバーに車を貸すように、経験豊富なプレイヤーは自分のAxieを新しいプレイヤーに貸し、そのプレイヤーがゲーム内で挙げた収益の一部を受け取ることができる。ゲーム内の仮想の土地を数千ドル、時には数百万ドル相当の仮想通貨で売却することも可能だ。

 しかし、Axie Infinityのようなゲームが生み出す経済システムが持続可能かどうかは議論の余地がある。ゲームに新しいプレイヤーが参加しなくなれば、Axieを売る相手がいなくなり、SLPトークンの価値も下がる。また、新規プレイヤーは古参プレイヤーに比べてキャッシュを稼ぎにくい。このゲームをプレイするためには、最初に3体のAxieを買ってチームを作る必要があり、現在のところ150ドル程度の初期費用がかかる。稼げなくなれば、このゲームをプレイする理由はない。

 ブロックチェーンを利用したインディーゲームのクラウドファンディングプラットフォーム「Gamestarter」を運営するAndrius Miron氏は、「ゲームに関心を持ち、プレイし続けてくれるプレイヤーをある程度は確保しなければならない」と指摘する。「この点で、私はAxie Infinityを手放しで評価できない。このゲームはゲーム性よりも、金儲けの道具という側面が強すぎるからだ」

 Axie InfinityのようなP2Eゲームが広く受け入れられるか、少なくとも経済的に運営を継続できるかどうかはまだ分からない。しかし、大手ゲーム会社がブロックチェーンの導入を前向きに考えていることは間違いない。

デジタル時代の所有権の行方

 ブロックチェーンのエバンジェリストたちに聞けば、NFTは利益を追求するための技術ではなく、デジタル所有権のための技術だと言うだろう。大手ゲーム会社も、この戦法でプレイヤーにNFTを売り込もうとするはずだ。ゲーム内のアイテムは、遠からずNFTとして販売されるようになる。これまでのゲーム内購入と異なり、NFTは他のデジタルアイテムと交換したり、他のプレイヤーに売って収益化したりすることができる。

 たとえ有料でも、ゲーム内のアイテムを買おうとする人は多い。Super Dataの調査によれば、2021年は900億ドル(約10兆円)以上がゲーム内購入に費やされ、その多くが新しいコスチュームや武器スキンを購入するために使われた。希少なアイテムを手に入れるためなら、金に糸目はつけないという熱心なプレイヤーもいる。

 数年前のオークションでは、人気ゲーム「カウンターストライク」のライフルの外観を変えるアイテムに6万1000ドルを超える値がついた。

 「ゲーム業界は長年、ゲーム内でデジタル資産を作り、売ってきた」と、Wedbush Securitiesのビデオゲームアナリスト、Michael Pachter氏は述べる。こうした取引のトレンドがブロックチェーンへと移行するなら、大企業もそこを目指すだろうと同氏は言う。

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