ブロックチェーンを基盤とするゲーム「Axie Infinity」のプレイヤーは、Axieと呼ばれるモンスターを集めてチームを作り、他のプレイヤーのチームと戦う。数行のコードで表現されるAxieは、所有権を表すNFT(Non-Fungible token、非代替性トークン)としても機能する。プレイヤーは、バトルに勝ったり、冒険に出かけたりすることで仮想通貨「Smooth Love Potion(SLP)」を獲得し、これを現実世界で換金できる。SLPを使って2体のAxieを繁殖させてAxieを増やし、他のプレイヤーに売却することも可能だ。
このゲームがプレイヤーにもたらすキャッシュは、小遣い稼ぎのレベルを超えている。ある22歳のプレイヤーは、このゲームの収益で家を2軒買ったという。
Axie Infinityのようなオンラインゲームは、大手ゲーム会社が莫大な資金をかけて制作する大作ゲームとはまったく違う。しかし、ゲームにNFTや仮想通貨を取り入れることは、インディーゲーム業界だけのトレンドではない。スクウェア・エニックスやセガなど古参のゲーム会社もNFTの導入に意欲を見せる。フランスのゲーム開発会社Ubisoftは、すでに代表作の1つ、『ゴーストリコン ブレイクポイント』にNFTを導入した。
ゲーム業界では、ブロックチェーン技術はもはや形のない概念ではなく、すでに実際の製品に実装されている。Axie Infinityのようなブロックチェーンゲームは、ゲーム史に新たな時代を刻むのか、それともひととき話題を集めてすぐに忘れられる、市場のあだ花となるのか。この問いは仮想通貨自体と同様に、さまざまな議論を巻き起こしている。
NFTは二極化している。
NFTは2021年、ブロックチェーン技術を用いてデジタル資産の所有権を明確にする斬新な手法として、カルチャーシーンにさっそうと登場した。ビットコインやイーサといった仮想通貨が史上最高値をつけると、暗号資産で富を築いた新興ミリオネアたちはNFTデジタルアートへの投機を始めた。デジタルアートを手に入れるために、目が飛び出るような額が飛び交う。例えば、色鮮やかな猿のアバターには25万ドル(約2900万円)の値札がついた。ラッパーのSnoop Doggや司会者のEllen DeGeneresといった著名人も参加するなど、NFTの投機市場は今、熱狂的な盛り上がりを見せている。
現在のNFTブームを90年代に大流行したぬいぐるみ「Beanie Babies」になぞらえ、一過性の流行にすぎないと批判する人もいれば、NFTはデジタル所有権の形を変え、文化を変革するものだと擁護する人もいる。ゲーマーの側がNFTに魅力を感じようと、ばかげていると考えようと、そもそも全く理解できなかろうと、ビデオゲーム業界はNFTを、そして仮想通貨を、次のヒット作を生み出す技術として受け入れようとしている。
ゲーム会社は今、この技術をどうすれば最も効果的に活用できるかを考えている。まずはソフト面だ。現在、プレイヤーがゲーム内で入手するコスチュームや武器などのデジタルグッズは、実際にはEpic Gamesなどのゲーム会社からリースしているにすぎない。これをNFTとしてプレイヤーが完全に所有できるようにする。次は、「Play-to-earn」(P2E)モデルの導入だ。つまり、ゲームで遊びながら、ゲーム外でも価値を持つ仮想通貨のようなブロックチェーン資産を獲得できるようにする。
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