Microsoftが米国時間1月18日、ビデオゲーム大手のActivision Blizzardを687億ドル(約7兆8800億円)で買収することで合意したと発表した。Microsoftにとって過去最大の買収となる。Activision Blizzardは「Call of Duty」や「World of Warcraft」など人気ゲームシリーズの開発元だ。Microsoftは買収完了後、これらのゲームタイトルを擁する世界3位のビデオゲームメーカーとなる。
Microsoftの最高経営責任者(CEO)であるSatya Nadella氏は18日、投資家向けの電話会議の中で、「われわれはActivision Blizzardとともに、ゲーマーにとって最高のコンテンツ、コミュニティー、クラウドを構築するための投資とイノベーションを行う素晴らしい機会を得る」と述べた。
両社は今後18カ月以内に完了予定のこの買収について、非常に競争が激しく収益性の高いビデオゲーム業界でそれぞれのフランチャイズを拡大する機会になるとした。Microsoftでゲーム部門の責任者を務めるPhil Spencer氏は「これは短期的な業績についての話ではない」と語った。
このところスキャンダル続きのActivision Blizzardは、その有害な職場文化で広く知られているが、MicrosoftはActivision Blizzardを傘下に収めることで次なる主要エンターテインメント企業の1社として自社を位置づけたいと考えている。Microsoftという社名から連想するのは、長い間「Windows」や生産性ソフトウェアの「Office」だったが、同社は「Xbox」ブランドによって、ビデオゲーム業界を主導する取り組みを着実に拡大してきている。そしてActivision Blizzardの買収は、自社のゲーム事業の未来に対する重要な投資だと考えている。
Microsoftはこの買収計画について、「Fallout」や「Doom」を擁するZeniMax Mediaなどこれまでの買収とともに、サブスクリプション料金を払いたいと思わせるコンテンツに大きく投資するNetflixのような企業に転換するための取り組みの中核だとした。
MicrosoftはActivision Blizzardのゲームをさまざまな方法で利用したいと考えている。パズルゲーム「Candy Crush Saga」などは、モバイルゲームへの事業拡大を支える手段になるとみている。一方、「Diablo」や「Call of Duty」といった大ヒットアドベンチャーゲームや、ファンタジーシューティングシリーズ「Overwatch」などのタイトルは、月額 14.99ドル(日本では1100円)のサブスクリプションサービス「Xbox Game Pass Ultimate」や、クラウドゲーム事業の強化に利用できる。
この買収は多大な機会をMicrosoftにもたらすが、スキャンダルの渦中にあるActivision Blizzardは現在、厳しい目を向けられており、女性従業員を差別して「男子学生の社交クラブ」のような職場文化を助長したと指摘されている。2021年夏には、差別やハラスメントなどがあったとしてカリフォルニア州公正雇用住宅局(DFEH)に提訴され、批判が高まった。9月には、従業員の公民権を侵害し、従業員らをセクハラ、妊娠差別、報復に遭わせたとして米雇用機会均等委員会(EEOC)に提訴された。その後直ちに1800万ドル(約20億円)でEEOCと和解している。
調査や従業員による抗議がなされる中、CEOのBobby Kotick氏はこれらの問題を無視し助長したと批判され、辞任要求を突きつけられている。
Microsoftによると、Kotick氏は今後も同職に留まり、Activision BlizzardはSpencer氏の直属となる。同社はSpencer氏について、文化改革の素晴らしい手腕があるとした。
Nadella氏は「MicrosoftのCEOとして、組織の文化は私の最優先事項だ」と述べた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」