シャープ、楽器もワインも最適な湿度で保つ調湿材「TEKIjuN(適潤)」を開発

加納恵 (編集部)2022年01月18日 15時45分

 シャープは1月18日、密閉空間を目標湿度に調節、維持する調湿材「TEKIjuN(適潤/てきじゅん)」を開発したと発表した。空気中の水分を吸収、放出し、多湿、乾燥による結露や物品のひび割れを抑制できるとしている。「ビーズ型」と「シート型」の2種類を開発し、固形状として対象物に最適な目標湿度を設定した状態で提供できるのはビーズ型が世界初としている。

調湿材「TEKIjuN(適潤)」。ビーズ型(左)とシート型(右)
調湿材「TEKIjuN(適潤)」。ビーズ型(左)とシート型(右)
バイオリンなどの木製楽器やカメラの場合は40~50%RH(相対湿度/relative humidity)、飲食物の場合、ワインやお米は60~70%RH、野菜や果物などの青果は80~90%RHと、対象物により最適な湿度はさまざま
バイオリンなどの木製楽器やカメラの場合は40~50%RH(相対湿度/relative humidity)、飲食物の場合、ワインやお米は60~70%RH、野菜や果物などの青果は80~90%RHと、対象物により最適な湿度はさまざま

 手掛けたのは、シャープの8Kエコシステム内に所属する研究開発事業本部。5G・Beyond5G無線通信技術、次世代画像符号化技術、IoTセンシング技術、高精細映像伝送・表示技術、AI応用画像検知・超解像技術、次世代材料・デバイス技術と、現在6領域の技術に取り組んでおり、TEKIjuNは次世代材料・デバイス技術を使った新領域、事業を生み出す技術として発表された。

 同様に次世代材料を用いた技術は、「TEKION LAB」として数年前に発表されており、こちらは物を適正の温度で保つというもの。TEKIjuNは、温度とともに生活の中で適正を保ちたいとされる湿度に着目した。

 シャープ 常務執行役員研究開発事業本部長の種谷元隆氏は「冬は暖房をつけるとたちまち乾燥し、逆に夏はすぐに結露が生じる。温度変化にも敏感に反応し、湿度を独立で制御するのは難しい。しかし、それぞれのものにも適正湿度があり、その制御を実現したのがTEKIjuN」と開発の背景を話した。

 TEKIjuNは、電源を使用することなく、多湿時には吸湿、乾燥時には放湿することで、密閉された空間を目標湿度に調節、維持し、大切なモノを多湿や乾燥から守る調湿材。人間の肌が潤いを保つために持っている天然の保湿成分をヒントに開発された「液体調湿材」が湿度の調節、維持を実現した。

 しかし、液体のため形状の自由度が低く、特殊包材が必要など扱いにくかったため、液体調湿材を樹脂に染み込ませ固形化に成功。今回ビーズ型として登場した。ビーズ型は、湿度制御性に優れ、保管・保存対象物に最適な目標湿度の設定が可能。直径5mm程度の小さな球体で、使用量の目安は、密閉空間1リットルに対し、1~2グラム程度。楽器ケースやカメラケース、ワインセラーなど、余剰スペースが限られた空間でも利用可能としている。

湿度制御性に優れるビーズ型
湿度制御性に優れるビーズ型
ビーズの目標湿度への調節効果の実験。温度が変わっても湿度は一定以上変化しないことがわかる
ビーズの目標湿度への調節効果の実験。温度が変わっても湿度は一定以上変化しないことがわかる

 一方、吸放湿速度に優れるシート型は、TEKIjuNを微細化し、不織布と配合したもの。空気との接触面積が大きく、空気中の水分を速やかに吸収するため、結露を抑制できるとしている。相対湿度が低下すると自ら放湿し、湿度の急激な変化を緩和。電設ボックス内の電気機器の結露抑制、輸送用コンテナや倉庫内における段ボールなどの荷物の濡れ抑制に適しているほか、住宅の壁の内部に組み込むといった用途も期待できる。

吸放湿速度に優れるシート型。裁断もでき、折り紙ができるくらいの厚さになっているという
吸放湿速度に優れるシート型。裁断もでき、折り紙ができるくらいの厚さになっているという
シートの結露抑制効果の実験。シートありは、急速に曇りが取れていく
シートの結露抑制効果の実験。シートありは、急速に曇りが取れていく

 使用期限は、半年程度としているが、完全に密閉されたクリーンな環境であれば、理論上は半永久的に使用できるとのこと。2022年春に第1弾となる商品化を予定しており、「価格に関しては、従来品と比べあまり高いと話しにならない。ほぼ同等の価格を目指している。数年後には年間10億円程度の市場規模を想定している」(種谷氏)とした。

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