「iPhone」に匹敵するアップルの新製品が2022年に登場するかもしれない - (page 2)

Ian Sherr (CNET News) 翻訳校正: 編集部2022年01月05日 07時30分

 ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスの教授で、「One Up: Creativity, Competition, and the Global Business of Video Games」の著者であるJoost van Dreunen氏は、「Appleをハードウェアの会社だとは考えていない」と言う。では、ソフトウェアのエコシステムとは何か。同氏は長年、VRの世界に懐疑的だったが、オンラインゲームプラットフォーム「Roblox」でバーチャルな葬儀や子供の誕生日会に参加したことを機に、考えが変わったという。また、Appleは画期的な新製品の開発にアプリ開発者を巻き込んできた実績があると同氏は指摘する。「どの会社にできるかと言われれば、それはAppleだ」

新型コロナウイルスがもたらす疑問符

新型コロナウイルスのイメージ
提供:James Martin/CNET

 iGlassに関して言えば、Appleが心配しなければならないのはZuckerberg氏のようなライバルだけではない。もし2022年の発売にこだわるなら、コロナ禍の最中に新製品を発売することになる。新型コロナウイルスは世界中で猛威を振るい、すでに530万人以上が犠牲となった。

 コロナ禍により、最も深刻な影響を受けた業界の1つが貿易だ。製造業者も工場や出荷施設に十分な人員を確保できずにいる。2020年ハイテク業界の多くの企業を襲った広範な供給不足をAppleは免れたように見えたが、2021年のホリデーシーズンはチップの製造が間に合わず、需要を満たすだけのiPhoneとiPadを供給できないことを明らかにしていた。

 AppleのCEO、Tim Cook氏は10月の決算説明会で「コロナウイルスの動向を予測することは難しい」とアナリストに語った。また、Apple製品に対する需要が過去最高を記録した時期に、供給の制約により、60億ドルの売上高を失ったと語った。しかしパンデミックの初期と比べれば、状況は「かなりまし」だと言う。

 コロナ危機の影響はサプライチェーンにとどまらず、労働文化にも加速度的な変化をもたらしたと経済学者たちは言う。コロナ禍は高齢化したベビーブーム世代の引退を後押しし、従業員は柔軟な働き方を求めるようになった。働き方の問題は、Apple社内でも議論になっている。

 2021年、Appleの従業員は異例の行動に出た。Appleの極度の秘密主義的な職場文化が、意図的ではないにせよ、一部の従業員に悪影響を与えていると公の場で語ったのだ。特に問題視されたのは、安全でない労働環境、そしてコロナ危機下で子育てや介護を担う従業員への厳しい要求だった。多くの従業員は、今後もリモート勤務を軸とした働き方を希望し、一部の従業員はCook氏に公開書簡さえ送った。しかしAppleの経営陣は、安全が確認され次第、すぐにオフィス勤務に戻るよう従業員に呼び掛けた。

 「多くの人がリモートワークに移行した時期にも、私たちは多くの成果を達成した。しかしこの1年間を振り返って、私たちに本質的に欠けていたものは何か。それは、お互いの存在だ」と、Cook氏は今夏に全従業員に送ったメールに書いている。「ビデオ会議は確かに私たちの距離を縮めてくれた。しかし、対面のコミュニケーションを完全に再現するには至っていない」

 この問題はまだ解決していないが、コロナの感染者数が再び増えていることから、ひとまず議論は脇に置かれている。秋に発見された変異株のオミクロン株は、世界中で急速に感染を拡大しており、Appleはオフィスへの復帰計画を無期限に延期した。

次のステップ

iPhone 13
iPhone 13
提供:Stephen Shankland/CNET

 Appleが2022年に発売を予定しているであろう製品の1つに、デザインを一新したiPhone 14がある。iPhone14では、ついにノッチが廃止されると言われている。AppleはiPhone 13でノッチ部分を小型化したが、「Face IDセンサー」と前面カメラにはこの部分を利用していた。

 最新のMシリーズチップを採用した、新しいMacコンピューターも登場するとみられている。チップの設計を担当するのは、この10年間にiPhoneやiPadに採用されたマイクロプロセッサーの開発チームだ。Intelの競合チップを置き換えるために開発されたAppleの「M1」「M1 Pro」「M1 Max」チップは、これまでのところ高い評価を得ている。

 米CNETのレビュアーであるDan Ackerman記者は、10月にAppleの最新ノートブックをテストした。大きな動画ファイルを編集したみたところ、旧モデルの半分以下の時間で処理が完了したと言う。「パフォーマンスの差は歴然だ」とAckerman記者は言う。

MacBook Pro
刷新されたMacBook Proはレビュアーから高い評価を得た
提供:Dan Ackerman/CNET

 Mシリーズチップの競争力が実証された今、Appleの次の課題は2年以内に大型のアップグレードを実施することだ。Technalysis ResearchのアナリストであるBob O’Donnell氏は、「Appleは従来型のテクノロジー企業に多くの混乱、恐怖、懸念をもたらしてきた」と言う。「この興奮を維持することは、これまでよりも難しくなるだろう」

 2020年、AppleがデスクトップクラスのM1チップをiPad Proに採用した際、O'Donnell氏はAppleが最新チップを採用する可能性のある他の製品について考えた。2022年に発売されるiGlassは、その1つになるかもしれない。

 「これは、Appleの考え方が変わりつつあることを示している」とO'Donnell氏は述べた。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]