実際、Aggarwal氏の舵のもとで、ライドシェア大手のOlaは2022年に勝利をつかみそうだ。同社は、10億ドル(約1140億円)での株式上場を計画している。
Ola Electricとともに、Aggarwal氏は気候変動という波をとらえる手腕を発揮しており、少なくともこの規模では誰よりも早く、数年前には電動化という流行に乗っている。しかし、このまま安定したビジネスモデルにこぎ着けることはできるのだろうか。
そのために、Olaは厄介な障害物をいくつか乗り越えなければならない。
まず、インフラが大きな課題となる。中国には数百万カ所存在する充電ステーションが、インドには数千カ所しかない。バッテリーのリサイクル事業も皆無だ。コスト面でも、ガソリン車が平均70万ルピー(約105万円)で済むのに比べて、最も廉価なEVでも120万ルピー(約180万円)はかかる。
そのうえ、インドは自動車市場の製造拠点とするのも難しいことが判明している。FordとGeneral Motorsは既に撤退を発表しており、Harley Davidsonも最近、閉鎖を発表している。
国内の競合他社も、容易な相手ではない。古くからのブランドのうち、例えばBajajが最近、代表的なミッドレンジモデル「Chetak」を電動化したことなどは、今後の変化を象徴する動きだ。
業界レポートによると、市場シェアではHero Electricが36%でトップに立っている。市場では最廉価の部類に入る電動スクーター「Photon」の販売元であり、市場に深く根ざしていることを考えると、強力なライバルになるだろう。
グルグラムに本拠を置くOkinawaも、6モデルのスクーターで20%近い市場シェアを確保している。
市場に名を連ねる他の企業まで見渡してみると、Atherが社名を冠した電動スクーターをPhotonの2倍の価格で販売している。現在、同社はスクーター11万台、それに合わせたバッテリーパック12万基という生産体制にあり、販売する州の拡大も計画している。
EV市場にこれだけの企業があることを考えると、勝負は根比べになってくる。大きな変化が訪れるのはいつか、その時期を伺っているのだ。Eコマースの場合は20年近く必要だった。今回の場合、大きな変化には国の政策変更が必要になるのかもしれない。
以上の条件とは別に、インドの消費者は値段に敏感なことで知られているので、いずれは経済的に有利な電動スクーターが多数派になるだろう。ガソリン価格の急騰が完全に敬遠されるだろうからだ。ガソリン代を年間500ドル(約5万7000円)近く節約できれば、電動スクーターの7年分のバッテリー交換費用を2、3年で手に入れられる。メンテナンス費用も、電動スクーターならガソリンエンジンモデルに比べて3分の1で済む。
確かに、Olaが、これまで経験のなかったバッテリー、モーター、モーターコントローラー、ソフトウェアまでを設計、開発でき、最終的に製造できるようになって、競合他社より優れた製品を提供できるようになるには、あらゆることをこなせるようになる必要がある。
Olaはこれから、本格的に研究開発と製造の腕を磨かなければいけない。おそらくは、かつてオランダの電動スクーター企業Etergoを買収したように、この分野をリードする企業を買収したうえで、その努力が資本市場で報われるまで、投資家からの膨大な資金に頼らざるを得ない厳しい時期を耐え忍ぶことになるだろう。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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