ソニー、技術の結晶一堂に--「Sony Technology Day」

 ソニーグループは12月7日、ソニーグループのテクノロジーを紹介する「Sony Technology Day(ソニーテクノロジーデー)」をオンラインで開催した。各事業をつなぎ、その進化を支えるテクノロジーについて「感動を生む、テクノロジー」をテーマに8つの技術を紹介した。

「Sony Technology Day(ソニーテクノロジーデー)」を開催した
「Sony Technology Day(ソニーテクノロジーデー)」を開催した

 ソニーグループ 副社長兼CTOの勝本徹氏は「ソニーは、テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニーであり、クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たすことをPurpose(存在意義)としている。これらに共通するキーワードはテクノロジー。製品やコンテンツ、サービスを通じて世界に感動を提供したいと考えている」とコメントした。

ソニーグループ 副社長兼CTOの勝本徹氏
ソニーグループ 副社長兼CTOの勝本徹氏

 Sony Technology Dayでは、「フィジカルとバーチャルの融合」「リアリティの追求」「人・社会・地球への貢献」の3つのテーマで、それぞれの技術を発表した。

 フィジカルとバーチャルの融合では、「Crystal LEDとシネマカメラで実現するバーチャルプロダクション」「EPTSとData Visualization Technology」の2つを披露。バーチャルプロダクションとは、実写映像とCGをリアルタイムで合成する新しい映像制作技術の総称で、その手法の1つである「In-Camera VFX」は、カメラの動きと連動させた3DCG映像を、スタジオに設置したLEDディスプレイに背景として映し出し、その前の演者を撮影するというもの。グリーンバックでの撮影に必要なCG合成の手間と、天候や時間、場所などの制約からクリエイターを解放できることが特徴だ。

 ソニーでは、独自のLED制御技術とテレビ「ブラビア」で培った信号処理技術を融合したLEDディスプレイ「Crystal LED」を用いることで、高精細な映像を高輝度かつ広視野角で映し出すことを実現。8.6Kイメージセンサーを搭載したデジタルシネマカメラ「VENICE 2」と組み合わせ、リアリティのある映像制作をサポートする。

 EPTSとData Visualization Technologyは、スポーツ向けの映像解析技術。ソニーのグループ会社であるホークアイ イノベーションズのEPTS(エレクトロニックパフォーマンストラッキングシステム)「SkeleTRACK(スケルトラック)」を活用し、バーチャルリクリエーションで映像化が可能だ。ホークアイが有する高度な画像処理技術、AI認識技術と、ソニーが持つ放送用途の品質で映像を扱う技術やイメージセンサー関連技術を融合させることで、すべてのプレーをデータ化。リプレイ映像としても利用できる。

 カメラ映像解析によってデータを取得できるため、選手などにデバイスを装着してもらう必要がなく、プレイの妨げにもならないことが特徴。今後はスポーツに限らず、アーティストのライブなど、さまざまなエンターテインメントでの活用が期待できるという。

EPTSとData Visualization Technologyを用いてサッカーの試合をCGで再現
EPTSとData Visualization Technologyを用いてサッカーの試合をCGで再現。選手の目線になったり、観客席に立ったりと目線も自由に選べるという

 リアリティの追求では、「OLEDマイクロディスプレイ+低遅延HMDシステム」「超解像技術のRay Tracingへの応用」「プレイステーション5に導入した3つの技術」を発表した。

 OLEDマイクロディスプレイ+低遅延HMDシステムは、片目で4K、両目で8Kの高解像度を実現し、高精細な3次元空間を映し出すVRヘッドマウントディスプレイ(HMD)システムを紹介。OLEDマイクロディスプレイは、拡大してもドットが視認できない微細加工技術を生かした多画素、小型化を実現。複数のセンサーの情報を組み合わせることで、システム全体で遅延量を削減し、処理時間の短縮に結びつけたという。モックアップを作るなど時間のかかる作業が必要だったインダストリアルデザインのほか、医療や教育現場への導入を見据えているという。

OLEDマイクロディスプレイ。片目で4K、両目で8Kの高解像度を実現
OLEDマイクロディスプレイ。片目で4K、両目で8Kの高解像度を実現

 超解像技術のRay Tracingへの応用は、限られた演算リソースの中での性能の最大化や、あらゆるシーンや品質の映像に対してさまざまな観点からの高精度な高解像度化を実現するという技術。データ量の多い3Dコンテンツにおいては、キャラクターの形状、テクスチャ、照明などの情報を用いて利用する光線の数を絞ってレンダリングすることで、制作時間を数百分の一にまで短縮可能だ。

 プレイステーション5に導入した3つの技術としては、正確なオーディオポジショニングを実現できるようDSPから設計し、360度どこからでも音が聞こえてくる「Tempest 3Dオーディオ」、デュアルアクチュエーターの振動をゲーム内の状況に応じて変化させることで、触覚に訴えかける「ハプティックフィードバック」、内部に組み込んだ小型精密ギヤと高トルクのモーターによりゲーム内のアクションに応じて、リアルタイムの触覚を生み出す「アダプティブトリガー」の3つを紹介した。

 人・社会・地球への貢献では、「積層型SPAD距離センサー」「マニピュレーター」「地球みまもりプラットフォーム」を紹介した。

 積層型SPAD距離センサーは、微弱な光エネルギーを捉え、高い精度で周囲の物体との距離を検出できるセンサー。光を検出して電気信号に変換するSPAD(Single Photon Avalanche Diode)画素、電気信号を伝達するCu-Cu(カッパー・カッパー)接続、伝達された信号から測距処理を行う回路などを搭載したロジック回路のおもに3要素で構成され、近距離から遠距離まで高速かつ高精度な距離測定を実現する。

 マニピュレーターは、特性が分からない物体をロボットが丁寧に扱える技術。木材のような硬いものだけでなく、いちごやケーキといった柔らかいものも、形を崩さずに持つことができる。カメラで物体の距離までを把握し、指先に備えた距離センサーで指から物体までの距離を確認。物体を触ってからは触覚センサ―が機能することで、人間の手のように繊細に物体をつかめるという。従来ロボットの導入が難しかった新しい領域において、人間の仕事を手伝うことが期待できるとしている。

「マニピュレーター」。瓶の中身をコップを移す作業も可能。コップの重量を感知して掴む強さを変えている
「マニピュレーター」。瓶の中身をコップを移す作業も可能。コップの重量を感知して掴む強さを変えている
柔らかいエクレアをつぶさずに持てる
柔らかいエクレアをつぶさずに持てる

 地球みまもりプラットフォームは、地球上のあらゆる場所をセンシングし、環境問題、災害などの異変の予兆を察知して問題の発生を未然に防ぐ仕組み。水分量測定が可能な土壌水分センサー、LPWA(Low Power Wide Area)の無線通信規格ELTRES(エルトレス)、AIを活用した予兆分析技術などを活用しているという。

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