次の人気携帯ゲーム機はクアルコムとRazerから生まれるかもしれない

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 編集部2021年12月08日 07時30分

 ここ数年、携帯ゲーム機が再び盛り上がりを見せている。「Nintendo Switch」が登場し、外でもテレビでも遊べるゲーム機という新たなジャンルを生み出したからだという人もいれば、すべてはスマートフォンのおかげだという人もいる。Switchや間もなくValveから登場する「Steam Deck」が、据置型ゲーム機やPC用のゲームを携帯して遊ぶ方法を模索しているのに対して、Qualcommがモバイルゲーミング用に発表した新チップ「Snapdragon G3x」が目指すのは、ゲーム用スマートフォンを大画面と高い処理能力を備えたテレビ接続型ゲーム専用システムに進化させることだ。

Snapdragon G3xを搭載した開発者向け携帯ゲーム機
Snapdragon G3xを搭載した開発者向け携帯ゲーム機
提供:Celso Bulgatti/CNET

 つまり、QualcommはスマートフォンとNintendo Switchを融合させ、そこに仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の機能も盛り込もうとしているのである。

 Qualcommが12月1日に発表したG3xチップは、同社がスマートフォン向けに供給している高性能チップをゲーム用に最適化したもので、GPU「Adreno」やQualcommのCPU「Kryo」を統合している。クロック数やチップの詳細は発表されていないため、ゲームでの実際の性能ははっきりしないが、Qualcommは動作の安定性とフレームレートの向上を謳っており、高フレームレートでのテレビ出力も可能だとしている。

 QualcommはすでにゲーミングデバイスメーカーのRazerと提携し、G3xチップを搭載した開発者向け携帯ゲーム機を開発している。目的は、このチップを採用したソフトウェアや新型ハードウェアの開発を促進することだ。つまり、QualcommとRazerが共同開発したこのデバイスは消費者向けではなく、近い将来に市場で発売される予定もない。

 もっとも、誰もがスマートフォンを持っている今、あえてゲーム専用のデバイスを買おうという人がいるだろうか。Qualcommの答えは、イエスだ。特に、大画面の家庭用ゲーム機へのニーズはあると見る。ただし、それはスマートフォンのような小さい携帯ゲーム機ではなく、ゲームストリーミングに対応した、Switch風の大画面デバイスとなるだろう。

 このアイデアを、Qualcommが他社よりも早く製品化できるかはわからない。しかし、この市場は開拓する価値がありそうだ。Nintendo Switchのようなゲーム機は、よくできたデバイスではあるが、スマートフォンのような相互接続性やアプリとの親和性という面では柔軟性がない。一方、スマートフォンは小さな(場合によっては非常に小さな)画面に先進的なゲームをむりやり詰め込んでいるように見える。

 「将来のデバイスでは、常に安定したフレームレートを出せるようになる。どれだけ長時間プレイしてもユーザーエクスペリエンスは変わらない」と、Qualcommのゲーミングプラットフォーム責任者Micah Knapp氏は言う。

 米CNETでは今回、Qualcommの新チップを採用したRazer製の開発者向けキットを試す機会を得た。また、Qualcommに新チップの特徴、今後登場するデバイス、そして次世代の携帯ゲーム機とハイエンドの「Android」スマートフォンの大きな違いについて話を聞いた。

開発者向けデバイスの上部
提供:Celso Bulgatti/CNET

大きなボディー

 Razer製の開発者向けキットは、小さいとは言いがたい。見た目はValveの携帯ゲームPCであるSteam DeckやNintendo Switch有機ELモデルに似ている。厚みがあり、上部にはゲーミングチップを冷却しパフォーマンスを向上させるための通気孔が並ぶ。がっしりとした筐体は、「PlayStation 5」やゲーミングノートPCに比べれば小さいが、横に長い。スマートフォンも、「Backbone」やRazerの「Kishi」のようなコントローラーを装着すれば同じように横長の形状になるが、気軽にどこへでも持ち歩けるサイズ感ではない。スマートフォンの場合は、少なくともコントローラーは取り外せる。

 Razer製の開発者向けキットには、デュアルアナログスティック、ボタン、Dパッド、ショルダーボタン、トリガーがフル装備されている。画面はタッチスクリーンだが、スマートフォン用のゲームコントローラーと同様に、ボタンマッピング機能を使って携帯ゲームを物理的なボタンで操作できるよう設定できる。内蔵バッテリーは6000mAhで、一般的なスマートフォンと比べるとかなり大きい。

 このゲーム機――少なくとも、私たちが触ったRazerのG3xゲーミングプラットフォーム用プロトタイプは、ランドスケープモード(横向き)でのプレイを想定したデザインを採用している。ポートレートモード(縦向き)のゲームもプレイできるが、ボタン類はテレビのようなワイドスクリーンを想定した配置となっている。これはQualcommがG3x搭載機の主な用途になると考えている、クラウドやローカルでのゲームストリーミングに対応するためだ。すでにスマートフォンやタブレット、ノートPCでは、「Xbox Cloud Gaming」、「GeForce Now」、「Google Stadia」といったクラウドゲームサービスからゲームをストリーミングして遊べるようになっている。こうしたサービスに接続できる携帯ゲーム機への関心は、今後さらに高まるとQualcommはみる。

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