次の人気携帯ゲーム機はクアルコムとRazerから生まれるかもしれない - (page 2)

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 編集部2021年12月08日 07時30分

Switch風のテレビ接続機能と触覚フィードバック

ノートPCの画面でゲームをプレイする様子
提供:Celso Bulgatti/CNET

 開発者向けキットに採用されている6.6インチの1080p有機ELディスプレイは120Hz表示に対応しているが、USB-Cコネクターを使えば4Kテレビや4Kモニターでも144fpsでプレイできる。これがスマートフォンと一線を画す点だ。このプラットフォームがNintendo Switchの長年の取組みの進化形のように見えるのも、「テレビに接続できる」という特徴のせいだろう。

 もっともSwitchが登場する前から、NVIDIAの「Shield」タブレットはテレビ接続型ゲーム機としても利用されていたし、Razerもかなり前にゲーミングタブレット「Razer Edge」でこの領域に足を踏み入れている。Razerの開発者向けキットは、モジュール式のSwitchというより、むしろ通常の携帯ゲーム機のように見えるが、QualcommのKnapp氏によれば、今後モジュール化が進む可能性はあるという。少なくともテレビドックには対応するはずだ。

 「コロナ危機が始まった時、私たちはモバイルゲームのプレーヤーはPCやゲーム専用機に流れるだろうと考えていた。しかし、モバイルゲームに対するプレーヤーの愛はゆるがなかった」とKnapp氏は言う。「モバイルゲーマーたちは、モバイルゲームをテレビとつなぎ、大画面でプレイしたいと考えるようになった。こうして、お気に入りのモバイルゲームやストリーミングをテレビで体験するという可能性が開かれた」

 G3xチップはコントローラーの触覚フィードバックにも対応する。スマートフォンの触覚フィードバック機能よりも、もっと高度でゲームに特化した体験を提供できるとQualcommは請け合う。この点だけでも、大きな差別化要因となりそうだ。

5G、Wi-Fi 6、そしてカメラ

開発者向けデバイス
カメラは中央上部にある
提供:Celso Bulgatti/CNET

 G3xチップは、5Gのミリ波やSub-6、Wi-Fi 6Eに対応している。そう聞くと、良好なネットワーク環境での高速プレイ用に最適化されているのだと思うかもしれない。しかし、G3xチップのプラットフォームは、Qualcommがスマートフォン用に供給しているSnapdragonチップとまったく同じものではなく、ハイエンドのスマートフォン用に最適化されているわけでもない。また、QualcommのKnapp氏によれば、開発者向けキットの売りはカメラ性能ではないが、デバイスの上部には1080pカメラが搭載され、自分がゲームをしているところをストリーミング配信できるようになっているという。カメラは上端中央に設置されているので、自然な角度で自撮りが可能だ。

 G3xゲーミングプラットフォームはAndroid端末で動作するように設計されているため、理論的にはゲーム以外にも多くのアプリを動かせる。しかし、こうした携帯型のゲーム専用機は大きく、いびつな形をしているため、スマートフォンの縦長画面用に開発されているアプリは基本的に操作しにくい。

コントローラー部分
提供:Celso Bulgatti/CNET

ARとVRに対応

 G3xチップの最も興味深い特徴の1つは、他の携帯ゲーム機が(少なくとも現時点では)対応していない、VR機器やAR機器を利用できることだ。現在、「Oculus Quest 2」のようなスタンドアロン型のVRヘッドセットやARメガネはほぼすべてQualcommのプロセッサーを搭載しており、2022年にはスマートフォンと連携するメガネやソフトウェアはさらに増える見込みだ。

 どのタイプのヘッドセットがG3xチップと連携するかはまだ不明だが、スマートフォンとの連携が期待されるVRやARメガネと似たものになるだろう。ただし、できることは携帯ゲーム機の方がおもしろいはずだ。ARメガネを装着し大きなバーチャルモニターを見ながらプレイしたり、携帯デバイスをゲーム用ヘッドセットとゲーム機のハイブリッド機のプロセッサーとして活用したりすることは、少なくとも理論的には可能だ。そうすれば、現在はVR専用となっているOculus Questのようなデバイスを、外部スクリーン対応の携帯デバイスと連携可能なシステムに進化させることも可能となる。

価格は、おそらく安くない

 G3xを搭載したデバイスの価格について、高級スマートフォンよりも手頃な価格帯となるかをたずねたところ、明確な回答は得られなかった。

 ゲーム専用機、スマートフォン、PCなど、さまざまなゲーム環境が存在するなか、携帯ゲーム機の価格をQualcommがどう考えているかについて、Knapp氏は「ユーザー体験により、安くなるという予想もあれば、高くなるという予想もある」と述べる。当然、メーカーによって価格にはばらつきが出るとKnapp氏は言う。「各メーカーが何を作り、それをいくらで売るかについて、当社が口をはさむことはない」

 ハイエンドのスマートフォンの価格は1000ドルを超えることもある。ゲーミングPCも同様だ。ゲーム機ははるかに安い。Qualcommの携帯ゲーム機の性能や汎用性は、現時点ではまだ分からないが、スマートフォンやPCであればゲーム以外にもさまざまなことができる。しかし、ソニーとMicrosoftはどちらも携帯ゲームシステムを開発しておらず、Nintendo Switchのプラットフォームは古くなりつつあり、ValveのSteam Deckはまだ価値を証明しなければならない段階にあることを考えると、Qualcommのビジョンは携帯ゲーム機の進化の方向性について、1つの可能性を示すものと言えそうだ。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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