ロケーションベース仮想現実(VR)の将来性については、いろいろと議論が続いている。ロケーションベースVRとは、モールを中心に展開されていて、友人などと一緒に20~30分ほどの体験を共有できるエンターテインメント施設のことだ。人気の高かった施設の中には、コロナ禍の影響で営業を終了したものもある。しかも、(価格の低下が続く)コンシューマー向けヘッドセットでは、一般家庭でのルームマッピング性能が向上している。そうなると、ロケーションベースVRはいつまで存在意義を保てるのだろうかという疑問が湧く。再起を目指す企業がいくつかある中、この問いに約束ではなく行動で答えている注目の企業が、Dreamscapeだ。同社は、米国時間11月19日、ニュージャージー州のWestfield Garden State Plaza AMCで新しい施設をオープンしたことを発表した。
筆者は、この新しい施設を一足早く内覧し、ロケーションベースVRの施設の未来がかなり楽しみになった。
ロケーションベースVRは、家庭用VRヘッドセットで体験できる世界とは大きく異なる。そもそも、プレイする場所が専用の施設であり、その体験で使うのは視覚と聴覚だけではない。足元には何かが転がる感覚があるし、ゲーム中にさまざまなアクションをとるたびに空気圧を感じたりもする。そして、多くの場合、手を伸ばしてバーチャルな物体に触れようとすると、そこには実際に物体があって、あらゆるものがいっそうリアルに感じられるようになっている。
匂いや水を試している施設まである。その効果はさまざまだが、全体的に目指しているのは、VR体験を「スタートレック」に登場するホロデッキのようなものにさらに近づけることだ。
Dreamscapeは、「ハリー・ポッター」シリーズをモチーフにしたニューヨークの店舗「Wizarding World」との提携を、わずか4カ月前に発表したばかりだ。この店舗では、来店者がマルチプレーヤー式のVR体験2種類を楽しめる。今回新しくオープンした施設では、それぞれ独立した3つの体験が用意されている。つまり、同じ場所で、統一された1つのテーマだけを体験するのではなく、もっと多様で、ビジュアル性が高い世界を楽しめるということだ。Dreamscapeはこの場所を「Departure Lounge」(出発ラウンジ)と呼んでいる。
ここで、プレイしたい体験を3種類の中から選んで待機し、グループが呼ばれたら出発となる。どれを選んだとしても、この世界を飛び出して一時的に異世界を体験するのは共通だ。選択肢としては、次の3つがある。
ラウンジは、どこを見ても、これから始まる体験への期待が盛り上がるような作りだ。部屋の真ん中には大きいガラスケースが2つあり、2種類の体験に関わるアイテムが展示されている。グループが集まると、ホストがそのアイテムを使って、これから始まる体験にまつわる伝承を語ってくれる。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス