Metaが実証したデモのコンセプトを基に考えると、現在のところ、触覚グローブの用途の多くは、手を使うアクティビティーのシミュレーションのように見える。例えば、「ジェンガ」で遊ぶ、指相撲をする、物体を拾い上げる、といったことなどだ。これらのアイデアの多くは、今でもハンドトラッキングである程度可能だが、そこに物理的なフィードバックはない。
このテクノロジーが大きな違いを生み出しているのは、仮想のツールをシミュレーションすることだ、とMichael Abrash氏は考えている。触覚テクノロジーによって、キーボードで文字を入力したり、実際にはその場にない彫刻道具やブラシを手に取ったりできるようになれば、VRで作業をするというアイデアのぎこちなさが、ようやく軽減されるかもしれない。もちろん、現時点では、ケーブルやチューブでつながれた大きくて奇妙なグローブを着用する必要がある。これも同じくらい、ぎこちなさを感じさせる。
「問題は、グローブがそれらの道具をどれだけうまく模倣できるかということだ。その答えは、私にはまだ分からない」とAbrash氏。「仮想キーボードだったら、手と一緒に動かすようにして、入力時にユーザーが少し動いても、何を入力しようとしているのか推測できるようにするといったことも考えられるだろう」
Abrash氏は、触覚グローブがスマートグラスと併用する形で常用されるようになるとは考えていない。代わりに、同社は筋電図(EMG)に取り組んでいる。そのEMGは、リストバンドを使用して、運動神経の信号を感知し、ジェスチャーやコントロールに変換する。Metaは、このテクノロジーの今後の方向性を示すロードマップをすでに作成している。このバンドは手首の振動をフィードバックに利用するが、Metaの本格的な触覚グローブの研究が、これとうまく調和して、2つのテクノロジーを融合した製品につながる可能性がある。
Abrash氏は、触覚グローブとこのニューラルインプットについて、フィードバックループの役割を果たしていると考えており、それによって、目に見えない道具を機能させられるかもしれない。しかし、この2つのテクノロジーの組み合わせは、まだ理論の域を出ていない。現在のところ、Metaは触覚テクノロジーをリアルなものにしようとしているにすぎない。
「EMGの欠点の1つは、一方向性なので、ユーザーから信号を送っても、ユーザーにフィードバックは返ってこないということだ」とAbrash氏。「EMGとグローブを組み合わせるというのは想像がつくが、重要なのは、ただ文字どおり手を模することではない。重要なのは、手がフィードバックを受け取るための表面になるということだ」
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