農水省の「フードテック推進チーム」が本格始動--ルール可視化で日本のポテンシャル発揮へ - (page 2)

安蔵靖志 藤井涼 (編集部)2021年10月28日 08時10分
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国内のフードテックをデータベース化する「FOOD TECH Lab」

——現在、フードテック官民協議会のメンバーは約900人とのことですが、今後どのように広げていく狙いでしょうか。

井戸氏:現在は研究者やスタートアップの方々、技術に関心があるメーカーの方が多くいらっしゃいます。

大野氏(農林水産研究所 客員研究員の大野泰敬氏): まだ数は少ないので、プロモーション活動を強化する上でウェブサイトを作って情報発信をしていこうと考えています。欧州などでは国が各スタートアップとか大企業が取り組んでいるフードテックの事例をデーターベースとして持っています。同じように日本でもどの会社がどういうことに取り組んでいるのか、きちんとデータベース化しようと考えて誕生したのが「FOOD TECH Lab(フードテックラボ)」です。

FOOD TECH Labのウェブサイト
FOOD TECH Labのウェブサイト

大野氏:今はまだ登録ができませんが、数カ月後には登録できるようになります。イベントやプロモーションをして、どんどん登録してもらい、データベースを増やしていこうと思っています。

——フードテックラボはどのような経緯で生まれたのでしょうか?

大野氏:フードテック官民協議会の中のアイデアの一つとして生まれて、7月から活動を開始しました。

井戸氏:フードテック官民協議会のコミュニティ活動の一環として位置付けており、大野さんに進めていただきながら、われわれのできていない発信と情報収集をしていただいています。

技術よりも「解決したい課題」が先--日本ならではの強みを探る

——直近で注力する分野はどういったところでしょうか。

井戸氏:われわれとしては、解決したい課題は何かが先にあって、それを解決する技術を幅広く振興していきたいと思っています。たとえば大豆ミートは、食料増産と環境負荷の低減をどう両立させるという面で、良いソリューションですが、そのような技術は大豆ミートに限りません。

 たとえば養殖技術で、どうやって環境負荷を低減させながら魚などを作るのか。エサの効率を上げるためにはどうしたらいいのかなど、日本が本当に強みを持っている、日本の研究で世の中に貢献できるところはどこなのかを探っていきたいと思っています。

 ですので、一定のツールに限定するのではなく、日本にはこのビジョンを解決するためのツールとしてこういうのがあり、その中で日本の企業の強みがあるのはここ、そういう進め方をしていきたいと思っています。

——日本ならではの強みというのは、養殖技術が中心になりますか。

井戸氏:これから探っていきたいと思います。

——欧米では飽和してきているという話もありましたが、現在日本で注目され始めている代替肉はどうでしょう。

井戸氏:確かに東南アジアなどのように、これから肉の消費が増えていくであろう地域での期待は感じます。日本の製造技術や味付けの技術などに対する期待も聞こえたりしています。このため、大豆肉の原料を作る企業、二次加工、味付けして形にするところも含めて、日本企業が入っていくポテンシャルはあるのかなと思います。

日本で注目され始めている代替肉
日本で注目され始めている代替肉

 ヘルス分野では、さまざまな食品企業が取り組まれていると認識しています。そこに食材を提供する農林水産事業者や、他の食品メーカーなどが機能性を意識した食材を提供していくといったこともあると思います。

 農水省の政策としては、「みどりの食料システム戦略」に基づき政策手法のグリーン化を推進し、農業や畜産業、水産業などの環境負荷を低減させる革新的な技術・生産体系の社会実装を後押ししていきます。そういう技術を提供する企業にもビジネスチャンスが生まれてくると思います。

大野氏:そうした研究や、方針を決めるにあたってデータが重要になります。日本の強みがどこにあるのか、どこの人たちがどういうことに取り組んでいるのかを把握するということがまず必要です。それもあって先ほど紹介したフードテックラボを作り、そこで情報収集をしていきます。

 皆さんは大豆ミートに注目されていますが、実はたとえばロボットを活用したもの、AIをうまく使ったもの、はたまた日本古来から持っているような発酵技術を使ったものなど、今まで聞いたこともないようなものが日本の中にあるかもしれません。そういうものをこれから発掘していくのもフードテックラボの役割です。

 今、各企業が新規事業でフードテックにものすごく投資をし始めているのですが、限られた中でしか投資ができていない状況です。日本の大企業、投資家、ベンチャーキャピタルの方にもフードテックの中身を知ってもらいたいので、まずはフードテックラボで情報を集約し、きちんと情報発信もしていこうと考えています。

——フードテックというと、農林水産省に限らず、多くの省庁にまたがる分野だと思うのですが、省庁同士の交流はありますか?

井戸氏:テーマによっては、他省庁とのやりとりをさせて頂いています。ゲノム編集の可食部増量マダイは世界初のゲノム編集動物食品として出せたのですが、それも厚生労働省などの協力がなければできませんでした。持続可能な食料供給や新しい産業のために新しいルールを作っていただいています。

 国民の方々に納得していただける制度で、かつ事業者にとって負担になりすぎない形はどうすればいいのかを考えていくにあたり、関係省庁の協力なくしては前に進まないと思っています。


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