渋谷区とKDDIは9月6日、高齢者へのスマートフォン無料貸し出しなどを実施する実証事業の開始を発表した。
9月から2023年8月までの2年間の端末貸与のほか、勉強会などのスマホデビュー時のサポート、実証参加者のスマホ利用状況を分析した利用促進サポートなどを実施する。高齢者がスマホを使い始めてから使いこなせるようになるまでを継続的にサポートし、高齢者のスマホ利用率が上がらない理由である「利用方法を教わる機会が少ない」「使いこなせるようになるまでのハードルが高い」を解決するという。
渋谷区は、「LINE」を活用した区民への情報配信や防災アプリといったデジタルサービスの提供を進めているが、65歳以上の高齢者4万3000人のうち約25%がスマホを保有しておらず、普段からデジタルサービスを十分に活用できていない現状があるという。これにより、災害時に避難情報がリアルタイムに届かないといったリスクも想定できると説明する。
オンライン申請などの非接触型サービスも推進しているが、活用できる人と活用できない人の間で生じる恩恵の格差“デジタルデバイド”の解消が喫緊の課題となっている。
今回の実証実験に参加するのは、65歳以上かつスマホを保有しない渋谷区民で、指定するスマホ活用の勉強会などに参加できる約1700人。
勉強会では、貸与端末「Galaxy A20」の使い方のほか、区防災アプリ、LINE、「YouTube」などの操作方法を説明。アプリの利用ログや参加者へのアンケートから利用状況などの情報を、個人の特定ができない方法で可視化し、高齢者のスマートフォン利用の活性化に対する課題を抽出していく方針だ。専用コールセンターも新設する。
ここで収集した情報は、高齢者へ最適化したサービスの提供や、潜在的ニーズの把握、区の新規施策、既存事業の見直しと改善などにも活用するとしている。
渋谷区は、今回の実証における各施策の企画や検討、参加者の募集、会場の管理などを担当し、KDDIは、実証全体のプロジェクトマネジメントのほか、スマホ端末や専用コールセンター、勉強会、データ分析の企画、運営といった各施策の検討支援、運営などを請け負う。
今回の実証実験を機にスマホデビューをした高齢者がスムーズに使いこなせる環境を作り、利用率の向上やデジタルデバイドの解消、生活の質(QOL)向上を目指すという。
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