ラクスルは9月1日、企業向けプラットフォームの新事業として、企業のITインフラを管理する情報システム部門向けの統合管理クラウド「ジョーシス」をリリースした。
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、テレワークなどの新しい働き方が進むほか、SaaSの急増により、情報システム部門の負荷は高くなってきているという。
ジョーシスは、従業員に支給しているITデバイスの管理や、デバイスの購入やキッティング、社員の入退社に伴うSaaSアカウントの管理、ヘルプデスク業務など、情報システム部門のアナログな業務を自動化するもの。管理不全による情報漏えいのリスクを下げ、本来専念すべき「企業のDX化」などに取り組みやすい環境の構築を目指す。
サービスの大きな特徴は、ジョーシス上でさまざまなSaaSのアカウントを一元管理できること。アカウント発行から権限付与、プラン設定や、アカウント削除などもワンクリックで対応するほか、従業員台帳と連携することで個人の利用状況も把握可能。不要なサービスコストを削減できるとしている。
また、クラウド上の従業員台帳に関しては、人事系SaaSとの連携も可能。API未対応アプリやオンプレソフトウェアも管理でき、アカウント管理のみならず、契約形態や料金も確認・管理できる。
そのほか、デバイス導入に際して、購入からキッティング依頼までワンストップで完結する「オンラインストア」機能も備える。B2B部門で実績のあるTooと提携したサービスで、デバイスの価格は業界最安値クラスとしている。また、オンラインストア以外で購入した製品でも、ジョーシスの倉庫に送付することでキッティングするアウトソーシングサービスも請け負う。
会見に登壇したラクスル代表取締役CEOの松本恭攝(やすかね)氏によると、SaaSの数は年々増加しており、日本では1社あたり平均18のSaaSを利用しているという統計結果があり、今後さらに増加の見込みもあるという。
しかし、その管理は情報システム部門に強く依存しているとのこと。業務の属人化や部門自体の高い離職率といった課題を抱えるコーポレートIT分野にとって、さらなる負荷となることが想定される。これに対し、情報システム部門の外注化も考えられるが、松本氏は「企業にとって費用負担が大きい」と予想する。
実際、同社も2020年に新型コロナウイルスの影響でコストを見直した際、同分野の外注依存と費用の高さに強い課題感を抱いたといい、それを契機に着想・開発したのがジョーシスと説明する。
同社がコーポレートIT部門担当者600人に調査したところ、約50%の企業がSaaSの契約状況を管理できておらず、約60%の企業がSaaSへの支払いコストが把握できていなかったという。
さらに、昨今リモートワークの推進によるSaaSサービス導入が急増したことで、入退社に伴うアカウント管理の質が低下し、秘密情報の持ち出しに起因したセキュリティインシデントが多発している現状もあると同社は説明する。
ジョーシスはこれらのセキュリティレベル向上のほか、業務効率化による情報システム部門の負担軽減により、コーポレート領域の課題解決を通じて、“職場を良くするために働く人"の可能性を解放するプラットフォームを目指すとしている。
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