「コロナ第5波」「五輪」「緊急事態宣言」でも正社員のテレワーク実施率は横ばいに

佐藤和也 (編集部)2021年08月21日 09時00分
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 パーソル総合研究所は、「第五回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」と題し、東京五輪開催期間中かつ緊急事態宣言下におけるテレワークの実態・課題を定量的に把握することを目的として、7月30日~8月1日に2万人規模の調査を実施。その結果を8月17日付で公表した。

 東京五輪開催期間中かつ緊急事態宣言下における正社員のテレワーク実施率は、全国平均で27.5%。2020年4月比(1回目の緊急事態宣言時)では0.4ポイント減となり、同年11月比では2.8ポイントの微増にとどまった。

 4度目の緊急事態宣言の対象となった東京都に限ってみると、東京都における正社員のテレワーク実施率は47.3%。2020年4月比(1回目の緊急事態宣言時)では1.8ポイント減となり、同年11月比では1.5ポイントの微増にとどまった。

正社員のテレワーク実施率(全国平均)
正社員のテレワーク実施率(全国平均)
東京都における正社員のテレワーク実施率
東京都における正社員のテレワーク実施率

 雇用形態別のテレワーク実施率(全国平均)として、正社員のテレワーク実施率が27.5%であるのに対し、非正規雇用(パート・アルバイト、契約社員、嘱託社員、派遣社員)では17.6%と9.9ポイントの差。公務員・団体職員のテレワーク実施率は14%と、さらに低いという。

雇用形態別のテレワーク実施率(全国平均)
雇用形態別のテレワーク実施率(全国平均)

 企業規模別(従業員数別)の正社員のテレワーク実施率については、従業員1万人以上の企業では45.5%であるのに対し、従業員10~100人未満では同15.2%となり、30.3ポイントもの大差がついた。調査結果の推移をみても、大手企業と中小企業の「テレワーク格差」は縮まらないままと指摘している。中小企業では、未だにテレワークの社内制度やICT整備が進んでいないこと、1人で複数の業務をこなすため出社の必要性が生じやすいことなどが背景にあると考えられるとしている。

企業規模別(従業員数別)の正社員のテレワーク実施率
企業規模別(従業員数別)の正社員のテレワーク実施率

 なお、業種別にテレワーク実施率をみると、最も高い割合となったのは「情報通信業」で60%。また、職種別で最も高い割合となったのは「IT系技術職」で63.2%としている。

 直近3カ月(5月から東京五輪開催期間中)の各期間におけるテレワークの頻度をみると、東京都であっても僅かな上昇にとどまり、ほぼ横ばいの結果に。また、全国においても同様の傾向で、実施率・頻度ともにほとんど変化は見られなかったという。

テレワークの頻度
テレワークの頻度

 テレワーク実施者に、テレワークの継続を希望するかどうか聞いたところ、テレワーク継続希望率は78.6%と約8割にもおよんだ。テレワーク継続希望率は調査を重ねるたびに上昇し、現在も高止まりしている。また、コロナ収束後の希望を尋ねると、現在テレワークを行っている者では、1週間に1日以上を希望している者が78.8%となり、現在テレワークを行っていない者では同33.0%としている。

テレワーク実施者のテレワーク継続希望率
テレワーク実施者のテレワーク継続希望率
コロナ収束後のテレワーク希望頻度(%)
コロナ収束後のテレワーク希望頻度

 テレワークを行っていない理由について、「テレワーク制度が整備されてない」「ICT環境が整備されていない」は徐々に減少する傾向にあるという。

テレワークを行っていない理由
テレワークを行っていない理由

 パーソル総合研究所 上席主任研究員 小林祐児氏の分析コメントによれば、「五輪開催、緊急事態宣言、感染爆発など出社の抑制につながりそうな条件が揃っていたにもかかわらず、正社員におけるテレワーク実施率の全国平均は27.5%となり、過去調査結果からほぼ横ばいとなった」とし、東京都を対象とした7月12日からの緊急事態宣言によるテレワークへの効果については「極めて限定的と言える」という。

 また、東京五輪をターゲットとした政府各省庁による「テレワーク・デイズ2021」施策の実効性も非常に薄かったと指摘。テレワーク・デイズの認知度は全国平均で23.2%にとどまり、テレワーク・デイズの内容を知っており、かつ会社からテレワークが推奨されていた割合は、東京都でさえ6%と極めて低かったという。

 そして「こうした結果を踏まえると、ワクチン接種や飲食店への要請ばかりに注目が集まる中で、企業側にも働き手側にも出社減によって人流を減らそうという意識はあまり見られなかったと結論付けられる」とした。

 あわせて「今後もテレワークは働き方の選択肢として維持されるべきであり、職場の同調圧力などによってなし崩し的に出社が増えることは望ましくない」としながらも、企業からのテレワーク方針について「特に案内がない」との回答した割合は58.4%にも及んでいることや、ワクチン普及後の企業の計画策定も十分に進んでいないことから「企業はポスト・コロナを見据え、今後の自社の働き方の方針を定め、組織内にしっかり周知すべき」とまとめた。

「テレワーク・デイズ」の認知度
「テレワーク・デイズ」の認知度
テレワークに関する企業の方針
テレワークに関する企業の方針
ワクチン普及後のテレワークに関する企業の方針
ワクチン普及後のテレワークに関する企業の方針

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