ソニー、第1四半期の売上高、営業利益としては過去最高--「経営のレベルが上がってきている」 - (page 2)

セカンドソースの活用や戦略的な在庫確保で半導体不足をコントロール

 エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)分野の売上高は前年同期比59%増の5763億円、営業利益は806億円増の718億円となった。「テレビやデジカメの販売台数の増加が貢献。コロナの悪影響を大きく受けた前年同期から大幅な増収増益になっている」と語った。

エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野 (EP&S分野)
エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野 (EP&S分野)

 テレビについては、低価格帯の中小型商品では、巣ごもり需要に陰りが見えているものの、主力商品である高付加価値、大画面テレビは堅調に推移。「パネル需給はタイトだが、価格維持と高付加価値モデルへの販売シフトを進めている。平均販売価格は前年同期比38%増と大きく上昇している」という。

 また、コロナ禍で大幅に需要が縮小したデジカメについては、「2021年度に入ってからの需要の回復に加えて、高機能モデルへとシフトを図ることで実現した高い商品力を生かし、すべての地域で販売が好調。プロフェッショナル市場での『αシリーズ』のシェアも高まっている」としたものの、マレーシア工場では、稼働率を落とした操業を余儀なくされているという。「通期見通しでは、供給面でのリスクと、下期以降の巣ごもり需要の落ち着きなども織り込んでいく」とした。

 懸念された半導体不足については、「コンシューマ製品向けには、セカンドソースをみつけたり、戦略的な在庫確保などにより、生産、販売に支障をきたさない程度にコンロトールができている。ただし、予断を許さない状況が続いている。情報をしっかり入手し、先手で対処していく」と述べた。

 イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)の売上高は前年同期比6%増の2181億円、営業利益は43億円増の305億円。「モバイルセンサーについては、中国スマホ市場の停滞や、在庫水準の調整などにより、5月以降、中国メーカー向け出荷が鈍化した。だが、これはある程度計画に織り込んでおり、第1四半期は想定通り。中国特定顧客向けの減少を、中国以外の大手顧客向け出荷の順調な伸びと、デジカメ向けイメージセンサーの需要回復による出荷増で補った」とする一方、「これまで進めてきた顧客基盤の拡大については、中国メーカー各社によるイメージセンサーの採用が進んでおり、数量シェアにおいては回復の成果が見えている。2022年前半の各社フラッグシップモデルへのデザインインも順調。だが、中国のハイエンドスマホ市場に強いヒット商品がなく、勢いが欠けていることは懸念材料である」と述べた。

イメージング&センシング・ソリューション分野 (I&SS分野)
イメージング&センシング・ソリューション分野 (I&SS分野)

 金融分野の売上高は前年同期比6%減の4144億円、営業利益は120億円減の240億円。ソニー生命の減少、ソニー生命の子会社における一時的な損失計上が影響した。5月に、ソニー生命の海外子会社であるエスエー・リインシュアランスにおいて、承認していない約170億円の外部送金が行われたことを確認。「当該送金と同額の損失を計上した。関係当局への報告を含む対応に着手している。捜査協力と資金回収、全容解明を図る。ソニー生命の顧客が加入している契約への影響はない」とした。

金融分野
金融分野

 一方、2021年度通期業績見通しを上方修正。売上高および金融ビジネス収益は据え置き、前年比7.8%増の9兆7000億円としたが、営業利益は前回公表値から500億円増の前年比2.6%増の9800億円、税引前当期純利益は500億円増の前年比4.3%減の9550億円、当期純利益が400億円増の前年比32.0%減の7000億円とした。

2021年度 連結業績見通し
2021年度 連結業績見通し

 「第1四半期の業績をもとにして、リスクもオポチュニティを勘案し、自然体に積み上げたものである」とした。

 セグメント別では、売上高では音楽分野で500億円、EP&S分野で600億円の上方修正したのに対して、映画分野で200億円、I&SS分野で300億円の下方修正。営業利益では、音楽分野で280億円、映画分野で70億円、EP&S分野で220億円の上方修正、金融分野で170億円の下方修正としている。

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