コロナ規制への反対デモと偽情報時代の危険性 - (page 2)

Daniel Van Boom (CNET News) 翻訳校正: 編集部2021年08月04日 07時30分
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静かなる抗議

 欧米やオーストラリアの人々のほとんどは、新型コロナウイルス感染症は現実だと考えている。自国の政府が(たとえどんなに無能であっても)Bill Gates氏と共謀して国民にマイクロチップを仕込もうとしてなどいないと信じている。これは根拠のない、よく知られた陰謀論の1つだ。例えば、英国では6月にロックダウン反対運動が発生した際、成人の国民の71%が政府によるロックダウン延長を支持した。ドイツで抗議運動をサポートした政党AfDの支持率は、この行為によって下がったようだ

 とはいえ、パンデミックの最中にワクチンを否定する少数派より危険な少数派はない。2016年の米大統領選でDonald Trump氏が予想に反して勝利したように、新型コロナウイルスの出現は、国家体制に強い不信感を抱く人が増加していることを浮き彫りにした。こうした不信感は、非主流のワクチン否定主義者たちを少数ながら無視できない社会的勢力に変える一助となった。

 新型コロナ懐疑論者達の懸念の多くは、もっともらしいもので、それが問題の一因になっている。彼らは、ワクチン開発は拙速だったため、妊娠への影響について十分に研究されていないと主張する。彼らは、ワクチン接種によって有害事象が生じていると実例を挙げて指摘する(どんな薬物でも服用者のごく一部には有害事象が生じるものだが)。政府による保健上の助言の変更も、疑惑の炎をあおる。例えばオーストラリアでは、当初は60歳以上への接種に限定されていたAstraZeneca製ワクチンが、公式に18歳以上への接種を認められた。ワクチン接種消極派は、なぜAstraZeneca製ワクチンが若者にとって突然安全ということになったのか疑問に思うかもしれない。

 問題は、こうした懸念がメディアや医療機関へのいわれのない嫌悪感と一致することが多いことだ。ワクチン接種をためらっている人々は、メディアや医療機関の確かな情報ではなく、FacebookページやTelegramのグループ、代替ニュースサイトを見に行く。こうした情報源は、怪しげな報告を広め、読者が最も恐れていることを裏付ける。QAnonの陰謀論者達は案の定、新型コロナ否定主義を支持するようになった

 オーストラリアにとって、7月24日の抗議運動は長びく戦争の最初の戦いだった。オーストラリアはワクチン展開に失敗したため、接種率が比較的に低い。従って、ワクチンを入手できるかどうかの方がワクチン忌避よりも大きな問題だ。だが、国民の多くが接種を完了すれば、ワクチン消極派に接種するよう圧力が掛かるだろう。そうなれば、抗議や騒動、ワクチン拒否はさらに強まるだろう。

 そのような状況は、今まさに米国で起きている。人口の55%がワクチン接種を完了した段階で接種率の伸びは鈍化し、コロナの症例は増加している。国の指導者たちが接種消極派を説得しようとしている間にも、毎週何百人もの避けられたはずの死が記録されている。世界中で起きている抗議行動は恐ろしいが、抗議をやめさせるのは、ワクチンを接種するよう説得するよりは、たやすい。

 不信感は新しいものではない。だが、2021年にはこれまでにないほど、不信感によって人の命が失われるおそれがある。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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