新型コロナワクチン接種の予約をめぐり、供給状況が見えないとして、予約を停止したり制限したりする自治体が出てきている。
そうした中で内閣府は7月16日、現状のワクチン予約接種について、(1)予約受付停止の解消、(2)接種スピードの最適化の2つの課題があると説明。課題解決に向けて、47都道府県に対し、自治体(市区町村)にワクチンを采配できる「調整枠」を用意するとともに、データに基づいて調整できるよう、ワクチン接種状況を確認できる「ワクチン接種状況ダッシュボード(ダッシュボード)」へのアクセス・アカウント提供を開始した。
小林史明内閣府大臣補佐官は、予約受付を停止している背景として「要因は在庫がどうということではない。1回目のワクチンを打つ場合は、その人の2回目の分も届くことが確定できた状態で初めて予約をとるクリニックや自治体が多くある。(2回分の)接種が可能な見込みが立たなければ、多くの自治体は新規予約を受け付けられない実情がある」と説明する。
供給状況については、「今週(7月12日週)の頭に8月、9月にどの程度ワクチンを配るかを共有した」(小林氏)という。
2週間ごとの配送において提供する1万箱のうち、約8000箱を「基本枠」として人口割をもとに分配量を示し、予見性を持たせることで解消する。残りの2000箱を、都道府県に調整枠として割り当てる。
接種スピードの最適化について、自治体によっては200万回/日ペースのところがある一方で、80万/日の自治体もあるのが実情という。「これを、どうやって緩やかに調整していくか。これは都道府県に調整をしていただくのが最適だろう」(小林氏)とした。
全体で内閣府が現状で最適と考える120万回/日ペースに、都道府県が責任をもって自治体の接種ペースを最適化する試み。
その際に都道府県が円滑に調整できる判断ができるよう、下記の3つを国から提供する。
中でも住所地外接種による差分のデータは、自治体から特に「知りたい」という要望が多くあったという。
住所地外接種は、A町のワクチンに対し、A町の住人がA町のワクチンを打てば明確だが、さまざまな事情からB町から入ってきてA町で打つ、もしくはA町の住人がB町で打つといったことが発生している。自治体側からすると、自分の町のワクチンが消費されたかどうかによって「ワクチンを得した・損した」と立場が変わることになり、その状況を知りたいというニーズだ。
なお、これらのデータが見られるダッシュボードは、ワクチンの接種状況をわかりやすく把握するために作られた。具体的には、個人の接種状況を記録するシステム「VRS」(内閣府)とワクチンの物流を支援するシステム「V-SYS」(厚労省)のデータを収集・統合して見られるようにしたものだ。
VRSは、接種者情報と摂取記録情報により、誰が、いつ・どこで・どのワクチンを接種したか記録される、国が提供するクラウドのシステムだ。市区町村が接種者情報および接種記録情報を管理できる。
V-SYSは、ワクチンの配送に関する情報のやりとりを行うためのクラウドシステムで、厚労省によるもの。分配量の把握、配送結果の登録、医療機関による実績登録などが行われる。接種を行う医療機関などの情報は、V-SYS登録情報に基づき公開される。
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