新型コロナワクチンの高齢者向け接種が、4月12日よりスタートする。これに合わせ、国が整備する新型コロナワクチンの円滑な接種を支援するためのワクチン接種記録システム (VRS: Vaccination Record System) が始動している。
これまでの予防接種の運用では、手入力や外注によってデータ化していたため、接種履歴の迅速なデータ化が難しく、自治体の予防接種台帳に記録されるまでに2〜3カ月を要していたという。たとえば引っ越しにより、複数回を接種するタイミングで自治体をまたぐと、問い合わせなどの対応が困難になるなどの課題があった。
ワクチン接種記録システムは、ワクチン接種時に接種会場で国が配布する専用のタブレットを使用し接種券を読み取ると、接種情報が接種記録システムに登録されるしくみだ。国はシステムを提供するのみで、国のシステム内の論理的に区分された各市区町村の領域で各市区町村のデータを管理する。国は誰が接種した・しないなどの個人の接種情報を取り扱うことはないとしている。
小林史明内閣府大臣補佐官は、「ワクチン接種は約1億人が短期間に2回打つ。その間に災害があったら接種券がなくなってしまうかもしれない。認知症の人もいらっしゃる。その場で接種記録をデジタルに管理することで、必要な情報を国民に対して必要なときにお返しできるようになる」と説明した。
システム管理することで、今後必要になる機会が増えるかもしれない、ワクチン接種証明書の発行にも役に立つだろう。
接種記録システムに記録するには専用のタブレットが必要で、国が集団接種会場や医療機関に支給する。
だれもが簡単に使えるシステムを目指して開発したもので、必要な時間は、1件あたり数秒。「(接種会場において)10ライン同時に接種しても、1台で登録がさばけることをシミュレーションで算出している」(小林氏)とし、接種ラインが10ライン以下であれば1台の配布で済むと説明した。
すでに配布しているのは約3万台で、今後の発送分も含め合計5万1000台を確保しているという。
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