山口や福岡で地元起業家・エンジニアを育成--「G's ACADEMY」が西日本展開に本腰

 デジタルハリウッドは7月13日、起業家・エンジニア養成スクール「G's ACADEMY(ジーズアカデミー)」をフランチャイズ運営する西日本初の「G's ACADEMY UNIT_YAMAGUCHI」を山口市で10月に開講すると発表した。

 翌14日には福岡市のG's ACADEMY福岡で、実践的なウェブエンジニアリングとデータサイエンスの基礎を学び、エンジニアを目指す学生の地元定着を目指すプログラム「データエンジニア・カタパルト」を、同市の受託事業として9月に開講すると発表した。

山口で「地域をリードする起業家とエンジニア育成」

 G's ACADEMY UNIT_YAMAGUCHIは、クリエイティブとITに強みを持つ山口市の広告代理店のコアがライセンス契約してフランチャイズ方式で運営する。

 G's ACADEMYのオンライン版で、G's ACADEMY東京と福岡の講師によるP2Pラーニングによるプログラミング学習によって山口エリアに起業家とエンジニアのコミュニティを形成し、地域産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)促進を目指す。コミュニティマネージャーがサポートするほか、P2Pラーニングやコワーキングの勉強会で自走する新規事業のコミュニティを産み出す。

(右から)コア代表取締役社長の浜田泰氏、G's ACADEMY Founderの児玉浩康氏、山口市長の渡辺純忠氏、拠点施設を受託運営するツクリエ代表取締役の鈴木英樹氏
(右から)コア代表取締役社長の浜田泰氏、G's ACADEMY Founderの児玉浩康氏、山口市長の渡辺純忠氏、拠点施設を受託運営するツクリエ代表取締役の鈴木英樹氏

 G's ACADEMY UNIT_第1号の札幌市に続く第2号拠点で、新山口駅前の山口市産業交流拠点施設内の産業交流スペースで活動する。コアは、デジタルハリウッドと提携してラーニングスタジオ「デジタルハリウッドSTUDIO山口」を2018年7月に開講してウェブクリエイター100人超を育成してきたが、行政を含めたデジタル化の進展に応えるエンジニアなどデジタル人材育成に乗り出す。

 コア代表取締役社長の浜田泰氏は「クリエイターやデザイナーでは手に負えない現場にぶつかっている。高齢化や1次産業の課題をデジタルの新しい発想で解決する事業家を育てたい」と意気込みを語った。

 カリキュラムは、G's ACADEMY東京・福岡と同一で双方向のオンラインライブ講義「週末集中DEVコース」(毎週土曜日13時から17時)。年3回開講して計45人、1回の定員は15人となる。受講生の選抜は「IQテスト試験」か実現したいビジネスアイデアをプレゼンテーションする「アイデア試験」のいずれかを選択する。期間は6カ月で、最初の5週間通ってから継続するかどうかを判断できる。卒業認定を受けるとG's ACADEMY会員となり、各種サービスが受けられる。

山口市で「G's ACADEMY UNIT_YAMAGUCHI」を説明するG's ACADEMY Founderの児玉浩康氏
山口市で「G's ACADEMY UNIT_YAMAGUCHI」を説明するG's ACADEMY Founderの児玉浩康氏

 入学金は5万5000円、授業料は31万9000円で、成績優秀者は10万円を修了時に戻し、大学生は授業料から一律3万円を割り引く。また卒業生は、山口市が支援する「DXマッチングイベント」への参加権を得られ、市内企業とのPoC(概念実証)が決まれば最大100万円の支援が受けられる。

 1期生募集開始の「オープニングイベント&学校説明会」を8月7日に開き、カリキュラムや受講費用の詳細、開校コンセプト、起業の初歩、プログラミングの初歩を解説する。会場は山口市のKDD維新ホールで、オンライン配信もする。

福岡の実践的なプログラムでデータサイエンスを学ぶ

 一方、G's ACADEMY福岡で新たに開講するデータエンジニア・カタパルトは、福岡市が初めて取り組むデジタル人材育成プロジェクトの受託事業で、自治体が自らエンジニア育成に乗り出すのは珍しい。

 カタパルトは発射台の意味で、学生がエンジニアとしてロケットのように旅立ち、「ここで働きたい」と福岡に残って仕事ができるようにプロのエンジニアとの出会いや、同じ思いの学生エンジニアとの輪をつくる。福岡のIT企業やスタートアップの現役エンジニアが講師として協力し、共同制作やインターン機会の提供する。

データエンジニア・カタパルト事業を主催する福岡市の高島宗一郎市長(前列右から3番目)や支援するGs ACADEMY福岡のメンターたち
データエンジニア・カタパルト事業を主催する福岡市の高島宗一郎市長(前列右から3番目)や支援するG's ACADEMY福岡のメンターたち

 募集期間は7月14日から8月15日まで。対象は福岡県内の大学・短期大学・専門学校などに通学する学生30〜35人。受講料は税込1万0000円で、プログラム修了者は全額返金する。期間は5カ月間で9月12日に開講するが、8月からドリル型教材で自主学習して準備して9月からオンライン、10月から福岡市中央区の福岡市赤煉瓦文化会館内「エンジニアカフェ」でウェブサービスを学ぶ。

 福岡市提供のデータを使って11月からデータサイエンスの基礎を学んだ後、2022年1月から地元スタートアップとデータ活用型ウェブアプリを開発するDemo Day(成果発表会)を2月下旬に開く。開講にあたって「オープニングイベント&説明会」を7月21日から5回開催する。

 福岡市での発表会には協力企業5社のメンターが参加し、福岡でエンジニアとして仕事をしていく若い人を支援する意欲を語った。G's ACADEMY福岡の卒業生で、キャンプ女子コミュニティ「キャンジョ」運営や用品レンタルの「キャンプ女子」を起業した橋本華恋代表は、「会社を辞めてキャンプで起業したいと思った時、テクノロジーの力が必要だと思って入学した。デジタルの力をもっと活用すれば、福岡から全国にこの取り組みを広げられる」と話し、地元学生のプログラム参加を訴えた。

G's ACADEMY福岡卒業生の橋本華恋・キャンプ女子代表
G's ACADEMY福岡卒業生の橋本華恋・キャンプ女子代表

日本各地にG's ACADEMY--西日本での展開から各地へ

 札幌に続いて福岡や山口と西日本で相次いだ展開について、デジタルハリウッド執行役員でG's ACADEMY Founderの児玉浩康氏は、「山口では、求人にフィットする請負エンジニアではなく、独立した起業家として雇用する側の人材や、フリーランスのエンジニアを育てたい。既存企業のDX推進を担う人材育成もしてほしいという山口市の誘致を受けて、西日本初の(フランチャイズ)拠点を山口に置いた」と話した。

 同社は今後、さらに各地でG's ACADEMY UNIT_を展開する方針だ。また、開講3年の実績がある福岡校での新たなカリキュラムについては、「福岡は若者が多く、とがったサブカルチャーも強い。東京の成功事例ではないニッチだがユニークな取り組みがある」と今後の展開に期待感を込めていた。

福岡市で「データエンジニア・カタパルト」を説明するG's ACADEMY Founderの児玉浩康氏
G's ACADEMY Founderの児玉浩康氏

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