英国の資産家であるRichard Branson氏は、自らが設立したVirgin Galacticの宇宙船に乗って大気圏と宇宙の境界に到達するという、同氏にとって最新で、そして恐らくは最大の冒険を遂行した。
メディア関係者と招待を受けたゲストらが、砂漠からスペースポート・アメリカを見つめていると、母船「VMS Eve」による2筋の飛行機雲に、突然「VSS Unity」のロケットエンジンによる3つ目の煙が重なった。VMS Eveは山岳部標準時で午前8時40分頃に離陸した。その45分後にVSS UnityはVMS Eveから切り離され自機のモーターに点火してマッハ3を超えるスピードに達した。
Branson氏はVSS Unityが地球へ帰還するコースに突入する際、機内から発信された雑音交じりの無線通信の中で今回のことを「生涯の体験」と表現した。その後機体はVMS Eveが出発したのと同じ地点にほぼきっかり1時間後に着陸した。70歳のBranson氏はその後、「新しい宇宙時代の幕開けにようこそ」とツイートした。
Welcome to the dawn of a new space age #Unity22 @virgingalactic pic.twitter.com/Rlim1UGMkx
— Richard Branson (@richardbranson) July 11, 2021
VMS EveはBranson氏の母親の名前にちなんで命名された。Eve Branson氏は1月に新型コロナウイルスの合併症により死去している。
VSS Unityは地表から推定86kmの高さに到達した。これは、一般的な宇宙の定義における高度(100km)よりも低いと指摘する人もいる。しかし、米軍と米航空宇宙局(NASA)は地球と宇宙の境界線を地表50マイル(約80km)と定義しており、こうした指摘はやや客観性に欠ける。宇宙旅行という目的から言えば、無重力を体感することもできるし、真っ暗な虚空から地球を見下ろすこともできる。
Thread: we’re counting down the days to Sunday’s spaceflight! We asked the #Unity22 crew to answer a few of your questions! pic.twitter.com/5zmp6XhdKm
— Virgin Galactic (@virgingalactic) July 7, 2021
今回の打ち上げにはVirgin Galacticで政府問題担当バイスプレジデントを務めるSirisha Bandla氏も搭乗した。同氏には植物の微小重力への適応に関するフロリダ大学の研究実験を行う目的があった。
フロリダ大学の園芸学の教授で今回の実験の責任者であるRob Ferl氏は6月、「Virgin Galacticによる宇宙旅行は、打ち上げや宇宙空間への突入のタイミングで能動的に実験を観察する環境を提供できる初めての取り組みだ。打ち上げと微小重力下で生物学の研究ができることは、ことによると非常に重要な進歩といえるかもしれない。従来の実験は全て、宇宙船が周回軌道に乗るまで実験結果の確認を待たなければならなかった」と述べていた。
Branson氏は地表に戻ると、資金調達プラットフォームの「Omaze」を利用して、次回のフライトに登場する2人を募集すると発表した。非営利団体Space for Humanityへの寄付も受け付けるという。同団体は「人々の意識を高めることにより、宇宙を民主化し、世界の問題に対する解決策を構築すること」を目標としている。
Welcome Sirisha Bandla, Colin Bennett, and Beth Moses — our expert crew members joining @richardbranson on our #Unity22 test flight. Watch LIVE this Sunday at https://t.co/5UalYT7Hjb. @SirishaBandla @VGChiefTrainer pic.twitter.com/F4ZrGnH3vo
— Virgin Galactic (@virgingalactic) July 5, 2021
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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