シャープ戴会長、社長就任からの5年間を振り返る--45回のメッセージから見えた経営論

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 シャープ 代表取締役会長兼CEOの戴正呉氏は7月9日、社内イントラネットを通じて、CEOメッセージを発信した。タイトルは「新体制発足後、丸5年を迎えるにあたって」と題し、2016年8月に戴氏が社長に就任して以来のシャープを振り返り、今後の方向性を示す内容になった。また、これまでの45回に渡る社長メッセージ/CEOメッセージのなかかから「私たちが改めて認識すべき重要なポイント」を示した。

左から、鴻海科技集団の戴正呉副総裁(現シャープ会長兼CEO)と、鴻海科技集団の郭台銘会長兼CEO(当時)、シャープの高橋興三社長(当時)
左から、鴻海科技集団の戴正呉副総裁(現シャープ会長兼CEO)と、鴻海科技集団の郭台銘会長兼CEO(当時)、シャープの高橋興三社長(当時)

 最初に触れたのが6月29日に開催した第127期定時株主総会についてだ。戴会長兼CEO自らは、2020年同様、台湾からテレビ会議で出席したこと、株主から温かい声援をもらったこと、同日に発表した「mini LED 次世代ディスプレイ」の展示に対しても、「圧倒的な明るさで従来機との違いは一目瞭然。商品化が楽しみだ」、「黒が引き締まって美しく、大画面の迫力を感じた」といった高い評価を得たことを報告。「日本ブランド初となる次世代テレビの商品化を早期に実現し、さらなる事業拡大、ブランド価値向上につなげてほしい」とした。

「mini LED次世代ディスプレイ」
「mini LED次世代ディスプレイ」

 また、株主総会で承認された新たな経営体制についても報告。新たに取締役に就いた2人の役割について説明した。

 戴会長兼CEOによると、莊宏仁氏は、投資ファンドにおける経験を持ち、M&Aなどによる事業拡大への貢献に期待。許庭禎氏は、半導体やディスプレイ分野における経験を持ち、デバイス事業における協業についてアドバイスを得るという。

 今回の主要テーマである、新体制発足から丸5年を経過したメッセージについては、「原点回帰」という言葉を使って発信した。

 戴会長兼CEOは「2021年8月は、私がシャープの経営に携わってから丸5年となり、ひとつの区切りを迎える。この5年間は、さまざまな環境変化が起こるなかでも、経営基本方針のもと、抜本的構造改革や事業変革に、全社一丸となって、積極果敢に挑戦してきた結果、大きく経営改善を果たすことができた。この間の皆さんの努力に改めて感謝する」と述べ、「足元の事業環境は、新型コロナウイルスや半導体不足、物流の逼迫、鋼材や樹脂といった原材料価格の上昇など、日に日に厳しさが増しており、今後も想定を超えるような変化が起こることが考えられる。今後5年、10年と、シャープが持続的に成長していくためには、私たちの改革の原点となる経営基本方針に沿い、環境変化に対応し、常に自らを変革し続けることが重要である」とした。

 そして、これまでに45回に渡って社員に発信してきたメッセージを通じて、経営基本方針に関して、具体的事例を用いて説明してきたことを強調。「いま、私たちが改めて認識すべき重要なポイントについて再確認しておきたい」とし、これまでのメッセージのなかから重要となる5つのポイントについて再掲した。以下の通りだ。

(1)創業の精神

(メッセージ発信日:2016年8月22日、2018年6月25日

 「経営理念」や「経営信条“誠意と創意”」、早川創業者の「“まねされる商品をつくれ”の精神」など、「創業の精神」は当社の根幹をなすものであり、これからも大切に継承し、常に「Be Original.」を実践すること。

(2)正々堂々の経営

(メッセージ発信日2017年2月27日、2021年3月30日

 法令遵守はもとより、東証一部上場企業に相応しい企業倫理に沿った事業活動を行い、社会的責任を全うすること。

(3)輝けるグローバルブランド“SHARP”

(メッセージ発信日:2016年8月22日、2021年5月11日

 事業ビジョン“8K+5GとAIoTで世界を変える”の具現化を通じて、人や社会に寄り添い、常に新たな価値を提供し続ける“強いブランド企業”の確立を目指すこと。

(4)開源節流

(メッセージ発信日:2019年4月19日2020年6月1日

 “開源”の観点では、「4象限経営」を実践し、新たな事業の創出を加速すること。“節流”の観点では、日々のオペレーションや組織体制、サプライチェーンにおいて、さまざまな視点でムダの撲滅に取り組むこと。

(5)強い決心/Ambition

(メッセージ発信日:2018年8月3日、2018年8月31日

 難しい課題から目を背けず、野心を持って積極果敢に挑戦し、“有言実現”を目指すこと。

 また、4番目に掲げた「開源節流」では、これまでのメッセージのなかから、5つの項目にわけて、より詳細にメッセージを伝えた。

(1)事業変革

(メッセージ発信日:2019年7月25日2019年10月23日2021年5月11日

 サービス/ソリューション事業の展開、新たなプラットフォームの創出、グローバル事業拡大、B2B/B2Cビジネスの両面展開、健康/医療分野への新規参入、COCORO LIFEをてこにしたECビジネスの強化など、新たな発想で事業拡大に取り組み、早期にビジネスモデルの転換を図ること。

(2)量から質へ

(メッセージ発信日:2018年8月3日、2018年10月30日

 高付加価値モデルやローカルフィットモデルの比率を高める「製品の“質”の向上」、さらには、8KやAIoTを活用した革新的な商品やサービスにより、イノベーションを実現する「事業の“質”の向上」に取り組み、利益ある成長を目指すこと。

(3)プラス経営

(メッセージ発信日:2019年7月25日2020年6月1日

 事業戦略の立案、実行においてはもとより、拠点の集約や閉鎖、不採算事業の見直しといった構造改革を実行するにあたっても、単なる削減一辺倒の発想ではなく、新たな価値を創出するという発想を持って改革に取り組むこと。

(4)One SHARP

(メッセージ発信日:2016年9月21日/2018年10月30日2020年11月11日

 拠点の統合や遊休資産の活用、共同調達など、全社の経営資源を有効活用し、経営効率の向上を図るとともに、販路の相互活用や技術の融合による新規事業の創出等、事業間の連携を強化し、事業拡大に取り組むこと。

(5)M&A/協業、借力使力

(メッセージ発信日:2016年8月22日、2020年3月3日)

 自社のみならず、他社のリソースを有効に活用し、事業変革や競争力強化を加速すること。

 これらの「改めて認識すべき重要なポイント」を示した戴会長兼CEOは、「いま一度、社員全員が肝に銘じるとともに、きちんと実践できているか、自らを振り返ってほしい」と呼びかけた。

 今回のCEOメッセージの最後に戴会長兼CEOは6月4日に、日本から台湾に、新型コロナウイルスワクチン124万回分が提供されたこと、7月8日に113万回分の追加提供があったことに触れ、「支援を決定した日本政府に対して、改めて感謝の意を表したい」と述べた。また、7月23日から開催される東京オリンピックについても、「安心安全な大会として、無事、成功を収めることを祈念する」とした。

 また、戴会長兼CEOは「足元の事業環境は、極めて厳しい状況が続いている。いまなすべきことは、経営基本方針を着実に実行していくことである。新経営体制のもと、2021度も全社一丸となって改革に取り組み、業績目標の達成を目指そう」とした。

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